![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64081495/rectangle_large_type_2_35ab0510f6bdd1661d2cfab021a30569.jpg?width=1200)
デュラスか、隼雄か
特別に思い入れ深い本が、二冊あります。無人島に一冊だけ持っていけるとしたら、どっちにする?
私は、デュラスにするか、隼雄にするか、の二択で迷っています。
その二冊は、こちら。
河合隼雄さんの「ユング心理学入門」。
マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」。
✱
「ユング心理学入門」は河合隼雄さんの著書のなかで一番よく読んだ本です。
1967 年初版のロングセラーで、私のは1993年42刷。表紙のカバーが擦り切れてしまって、はずしました。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64138217/picture_pc_72db65c0c9b9568d226c51df211e86e1.jpg?width=1200)
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64138250/picture_pc_dfbe8f73b6b0f507553e5db29014278d.jpg?width=1200)
一年に数回、必ず読み返していました。読むたびに新しい発見がありました。
河合隼雄さんは影響を受けた人の一人です。ミーハーみたいに河合隼雄さんの追っかけをやってたこともあります。
河合隼雄さんの思い出です。
私は1990年代は京都の住人でしたが、そのころ京都には河合隼雄さんが居られて、ユング心理学の講座を京都市内で無料でやってました。講演会があるたびに出かけましたが、ユーモアがあって分かりやすい語り口で会場を沸かせていました。すごい人気でした。
本の執筆、講演会をはじめ、フルートの演奏会までやってくれました。本業のユング心理学は無料でしたけど、趣味のフルートはなぜか有料でした(笑)会場がホテルだったからかもしれませんね。御所の向かいのブライトンホテルでした。
そのころの河合隼雄さんは、京都大学教育学部教授から京都国際日本文化研究センターの所長になられて、エラい先生でしたけど、市民への露出度は高かったです。
京都には河合隼雄さんが居たから、楽しかったですねえ。
今振り返れば、河合隼雄さんにリアルで会えて、恵まれていたと思います。
マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」も、よく読んだ本です。
メコン川の渡し船のくだりなんか、映像が浮かんできます。ドラマチックで非日常、なところが好きです。熱帯、ていうのもキーワードかもしれません。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64138481/picture_pc_1617851ec982b05b250b4bb6d5a433db.jpg?width=1200)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64138510/picture_pc_f29b75d418f2b157c4f80286a71fda9e.jpg?width=1200)
熱帯といえば、山田詠美の「熱帯安楽椅子」も好きな小説です。
山田詠美さんの小説、エッセイ、「熱血ポンちゃん」シリーズ、ぜんぶ読みました。著作すべてを読んだ作家は、山田詠美さんだけです。
山田詠美さんの文体は、重量感があってたまりません。
冒頭の文章なんか、そらで言えます。
スプーンは私をかわいがるのがうまい。ただし、私のからだを、であって、こころでは決してない。「ベッドタイムアイズ」
あのときの思い出話をしてみようか。あの、二人にとって決して幸せだったといえない出会いの夜を。「チューインガム」
私を見えざるものとして扱わないでほしい。私には意思もあるし感情もある。おまけに信じ難いことだろが、自尊心もある。「アニマル・ロジック」
まず、手始めに男の顔に唾を吐いた。そして、それを取りまくすべてのものへ。「熱帯安楽椅子」
あ、話が逸れてしまいました。
すいません、雑談になっしまいました。
でも、無人島へ持って行くなら、「熱帯安楽椅子」より「愛人/ラマン」がいいな。
河合隼雄さんの「ユング心理学入門」か、マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」か。
迷います。