今回のおすすめ本 夢野久作『犬神博士』
みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、夢野久作『犬神博士』という本です!
※本作品は未完となっています。
本作品の主人公は、みすぼらしい一軒家に一人で住み、犬や猫を多く飼って町中を徘徊する老人大神二瓶。彼は世間から奇人として見られており、新聞記者が彼に取材をする場面から物語は始まります。
作中では、主に大神二瓶の幼少期に焦点を当てて進行していきます。幼少期の大神は「チイ」と呼ばれ、大道芸人の両親と各地を興行をして周っています(チイは女の子の装いをさせられ、母親の三味線、父親の唄、チイの踊りによって集客)。しかし、この両親は実の親ではなく、チイにひどい仕打ちを(特に母親が)日常的に繰り返しています。そんな日々を過ごしているうちに、チイは大人たちのインチキを見破る力を蓄えていきます。また、美少年であることも相まって衆目を集める存在となります。最終的には炭田の利権をめぐる抗争でも大活躍していくため、最後まで目が離せません。未完なのが非常に惜しいです。
作品を読み終えてみると、チイの天才的な勘の良さや賢さが随所で見られます。現代では芦田愛菜さんのような賢さを思い浮かべるとしっくりくると思います(もちろん芦田愛菜さんの方がチイより上品ですが)。「十で神童 十五で才子 二十過ぎれば只の人」とは言いますが、子どもには大人にはない(というよりは失ったに近いかもしれません)才覚を持っているのでしょう。そうした違う目線から物事を捉えているチイは本作において一際目立つ存在でした。特に性別や年齢差を歯牙にも掛けない振る舞いは羨ましいと思うところがあります。現在では、SNSが日常生活に組み込まれ、知り合いや知らない人も含め多くの人と自由に交流できる時代となっていますが、以前よりも気を使うことが増えたように思います。制約が多いことでむしろ不自由さを感じ、一人の時間を重視する人が増えているような感じます。こうした閉塞感を破ってくれるような活力を本作では与えてくれると思います。チイの物語を体感してみてください!
ぜひお手に取って読んでみてください☕️
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