今回のおすすめ本 小栗虫太郎『黒死館殺人事件・完全犯罪』
みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、小栗虫太郎『黒死館殺人事件・完全犯罪』という本です!以下では収録されている作品(2個)を紹介します。
「完全犯罪」
本作品の舞台は一九三×年五月十一日の中国・湖南の西端にある八仙寨の神秘と言われる異人館となります。主人公は苗族共産軍(中華ソヴェート共和国西域正規軍)の若き指揮官ザロフ。ザロフは八仙寨にて不思議な孤独生活を送っている、老嬢である洋医エリザベス・ローレル夫人と知り合います。ローレル夫人が孤独生活を送っているのは、父の遺言として「八仙寨から一歩も踏み出してはならん」というものがあったからなのでした。ザロフとローレル夫人が会話しているところに、娼婦を詰め込にした三台の幌車がやってきます。その中からヘッダ・ミュヘレッツェという女性と知り合うことになります。
その後ザロフと仲間の士官たち司令部はローレル家に泊まることになりますが、そこにはヘッダがあてがわれていました。しかし、そのヘッダが殺害されてしまうのでした…。犯行が行われた状況を整理すると、p.19にある図のように犯行を行われた時には密室状態であり、まさに「完全犯罪」です。果たして犯人は誰なのか、またどのような手順で殺害を起こしたのでしょうか…。
読後感想としては、殺人には主に「人間関係のもつれ」と「ある主義によるもの」の2種類があるんだろうなというものでした。犯罪の動機は多々あるとは思いますが、後者のような主義によるものは理解できないものが多い気がします。願わくは自分に害をもたらす主義を持つ人と関わりたくないものですね…。
「黒死館殺人事件」
日本における推理小説「三代奇書」の一角をなす作品。主人公は法水麟太郎、舞台は400年の昔から纏綿として続く降矢木の館。この館はむかし黒死病の死者を詰め込んだ城館に似ていることから蔑称として「黒死館」と呼ばれています。
降矢木家は、天正遣欧少年使節の千々石清左衛門直員(千々石ミゲル)が、カテリナ・ディ・メディチの隠し子といわれるカペルロ・ビアンカに生ませた子どの興した家です。黒死館の創設者・降矢木算哲は現在黒死館に住む四重奏団の西洋人四人を幼少時の際に連れて来て、以来門外不出となっています。
黒死館において、第一の被害者となったグレーテ・ダンネベルグ夫人の死体から発光現象が確認されます。この不可思議現象に対抗するために、法水が召喚されることとなります。法水の他に検事である支倉、捜査局長の熊城がこの事件を共に追っていきます。
法水は現場検証とともに、黒死館にいる家人や使用人に対して衒学を用いた訊問を行い、わずかな情報を基に捜査を行なっていきます。その中で、現当主・降矢木旗太郎だけでなく、先に挙げた四人の西洋人に対しても先主・算哲の遺産相続権が与えられていることを暴きます。遺産相続に関しての揉め事と睨みますが、そもそもなぜ西洋人を連れて来たのか、実子でもないのに相続権を与えているのか、謎が深まっていきます。そんな折、第二の殺人事件が起こってしまいます。
その後も法水は衒学を用いて犯人に立ち向かっていきますが、法水を嘲笑うかのように次々と謎が深まり事件の解決が難航してしまいます。その中では算哲が描いたとされる図(p.145)には六人の殺人方法が描かれているのでした…。
果たして法水は黒死館における殺人事件を防ぐ事ができるのか、また図に描かれた被害者となり得る人たちを守り切ることができるのか目が離せなません…。
読後感想としては、本作品が衒学作品と称されるように様々な分野の知識が詰め込まれているため、読むのが難しかったです。ただ知識を詰め込むだけでなく、それらが事件を緻密に構成しているところが面白いところだと思います。作中では難解な専門用語やルビが多用されているため、厨二病の最終形態のような印象も受けました。
難読書とも言われる本作品ですが、読後は高い満足感が得られるため、ぜひ一読することをおすすめします!
ぜひお手に取って読んでみてください☕️
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