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今回のおすすめ本 エピクロス『エピクロスー教説と手紙ー』


みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、エピクロス『エピクロスー教説と手紙ー』という本です!


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 本作品は、ギリシアの哲学者エピクロスが著述した手紙が三つ、主要教説をまとめたものが一つ、他断片二つとエピクロスの生涯と教説が一つ、収録されています。以前紹介したルクレーティウスはエピクロス派に属していました。エピクロス派の始祖がどのような思想を持っていたのか、本作を読むことで明らかになると思います。

ヘロドトス宛の手紙

 ここでは自然についてエピクロスがどのように考えていたのかが詳らかにされています。エピクロスは自然にある物事を考える際には語の基礎となる「先取観念」を捉えるべきだと主張しています。先取観念とはなんでしょうか。例えば、「馬」という言葉を聞いた時に🐎が思い浮かぶのは、その言葉を発せられる前に実物の馬を見ていることが前提となっているはずです。この前提のことを先取観念と呼んでいるようです。

 では見たことがない(肉眼で見えない)事物に対してはどのようにアプローチするのかというと、目に見える物から類推する、というやり方を取っていたようです。匂いなどの感覚は、目に見えないものですが、エピクロスはこうした感覚に変化を及ぼすものとして、そこには確かに物質(原子)があるものと捉えています。そして霊魂も同様に物質だと捉えていたようです。

ピュトクレス宛の手紙

 ここでは天候などの自然現象に対して考察が行われています。特に太陽と月に対する考察は面白いと感じました。他にも自然現象に対して考察されているので興味がある方は参照してみてください。

メノイケウス宛の手紙

 ここでは万人に哲学(善く生きること)を勧めています。まず生と死についてエピクロスの考えが述べられています。エピクロスは生きている間は死を辛いものとして忌避するのではなく、むしろ生を楽しくしてくれるものとして捉えています。なぜなら、死があるからこそ限りある生の時間を全うしようと思えるからだといいます。また、死は避けられない事象ではありますが、生きている間は死を経験することはないため、心配しても仕方がないという姿勢を持っています。そのため、知者は死ぬことも生がなくなることにも恐れない者であるとしています。

 次に大きな善として「自己充足」を掲げています。よくエピクロス派に対する誤解として、どこまでも快楽を追求する快楽主義というものがあります。しかし、エピクロスが述べる快楽とは、わずかなもので満足できる快楽を指しています。例えば、酒池肉林のような快楽はエピクロスの言うところの快楽ではありません。わずかなもので満足できるということは、誘惑に惑わされず、不運に見舞われても動じない態度を培うことになるとしています。これがエピクロスが「隠れて、生きよ。」と述べたことに繋がってくるところだと思います。

ぜひお手に取ってお読みください☕️


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