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お気に入り記事まとめ

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【日記】31歳、お気に入りの喫茶店で自分を取り戻す。コーヒーのハンドピッキングの音を聴きながら。

   お気に入りの喫茶店がある。  駅から小道を抜けて数分歩いたところに、その店はある。「喫茶店」という名前がまさにぴったりのところだ。木目の模様がしっかりと浮き出たテーブルと椅子、店主の趣味が全開の本棚、少し酸味のあるコーヒーの香り。この店で採用されているのは、布製フィルターを使ったネルドリップ方式だ。注文するたびに毎回違うカップでコーヒーが出てくるところも、たまらない。  一階のカウンター席が、いちばん好きだ。  このお店には手帳やノートを書いたり、原稿の読み直しをしたり

【#妄想本棚:チャラい男友達編】こんな本読んでる人と付き合いたい!元書店員が本気出して彼氏の家の理想の本棚作ってみた。

飲み会で「うえ〜〜〜〜〜い」とか言ってる男友達が、突然真剣な顔をして「おまえって可愛かったんだな」なんて言ってくるときほど、女をくらっとさせる瞬間があるだろうか、いや、ない。 どうも! のっけから反語で失礼します、川代です! いやー、最近寒くてですね、うちのマンションはどういうわけか全然暖房が効かなくてですね、毛布を2枚重ねても布団の隙間から冷たい風が流れ込んできて、寝よう寝ようと思っても全然眠れず、だんだん意識は朦朧としてきて、なんとかこの寒さを紛らわすためについ妄想の世

【日記】なぜ大人になってからの勉強のほうが楽しいのか?「どういうこと?」と「そうだったのか!」のバランス

 取材ってなんでこんなに面白いんだろうと、今日あらためて考えてみた。  今日もすばらしいお話をきくことができた。「なるほど、そういうことだったのか!」の連続で、メモをとる手が追いつかないくらいだった。  大人になってからの勉強が、たまらなく楽しい。学生時代とはえらい違いだ。昔は、勉強しないと進学できないから勉強していただけであって、とくに「勉強が楽しい」という感覚はなかった。どうしてこうも「面白い」と感じるようになったのだろう。  この問いについては以前からいろいろと考えをめ

「つまらない」と感じる原因は「知らない」から発生している

「未知のジャンルでも本を10冊読めば大枠を掴むことができる」 数年前だろうか、上司からそう教わって以来、「つまらない」「興味ない」の判断は本を10冊読んでからすることにしている。 その習慣をつづけていると、面白いことがわかった。 「つまらない」と感じる原因は「知らない」から発生していることがほとんどで、 10冊分の知識をインストールしてそれでも「つまらない」と感じることはほぼない、ということだ。 たとえば、ライティング・ゼミの受講生さんにも 「まったく興味のない分野につい

ガールズバーで一番人気だったあの子はちゃんと幸せになれたのかな


  ガールズバーで一番人気だったあの女の子はちゃんと幸せになれたのかなと、いまでもときどき、思い出すことがあります。どうしてだろう。不思議なものです。おそらく私が今後の人生で彼女にふたたび会うことは万が一にもなく、彼女が幸せだろうが不幸せだろうが、私にはいっさい関係のないことなのです。それでもどうしてか、ときどき思い出してしまう。あのとっても可愛くて親切な女の子は、ちゃんと幸せになれたのだろうかと、どうか幸せでいてほしいと、願ってしまうのは、なぜなのでしょうか。  彼女と

激レアさん放送後「歯茎」と言われ続けてコンプレックスが増えた話

えーと、激レアさんが放送されてからもう半年以上たつんですけどね、いまだに思い出すんですよ。なんでだろうね、名前も顔も年齢も知らない、何ひとつ知らないはずなのにね、浮かんでくるんですよ、あの歯茎をぐいっと剥き出しにしたキャラクターの顔が。毎朝鏡を見て化粧水を塗るとき、洋服を着替えたとき、あとはとくにあれかな、口紅を塗るときかなあ。顔色がパッと明るくなる、レブロンのオレンジのやつ。大学生のころからお気に入りでもう何本もリピートしてて、塗った瞬間にふわっと気分が上がる。本来そういう

このまま30歳になって大丈夫か症候群

アラサーである。 紛うことなきアラサーである。今年で29歳。27歳くらいまではまだまだヒヨッコの気分が強かった。というよりも、年齢の感覚があまりなかった。それよりとにかく仕事を軌道に乗せるのに必死で、歳を重ねることについてなんてほとんど考えられていなかった。し、考える必要もないと思っていた。 だいいち、私はもともと「はやく大人になりたい」と思っていたタイプである。学生のころから「まああなたはまだ若いからね」と大人から優しく諭されるのがなんとなく嫌で、はやく一人前の大人と認

誰か私の隣の非常識なマッチョを黙らせてくれ

非常識である。 非常に、非常識である。 何が非常識って、隣のマッチョの上腕二頭筋である。 いやー、この1年で運動不足がたたって、ついに自宅にいるのに飛行機に12時間乗ったあとみたいに身体がガチガチになってしまった。足のむくみがひどく、ストレッチしてもなかなか治らない。どんどん身体が衰弱していくような恐怖を感じた私は今年、ついに近所のジムに通うことにした。 そのジムはいわゆるヨガとかエアロビとかを真剣にやっているようなところではなくて、最低限のマシンと運動スペースが用意

コミュ障はコミュ障と言われるからコミュ障になるのだ

この記事は、WEB天狼院書店で連載していたブログ「川代ノート」の再掲です。 小学生の頃、私はクラス内カーストの最底辺にいた。 おとなしく、運動神経が悪く、暗い。いつも教室の隅で、ノートに絵を描いている。そんな子供を想像してほしい。周りに人間が集まってくるはずがない。 いわゆる「オタク」というやつだったんだろうと思う。周りからすれば。子供という生き物は、残酷である。子供は、ドッジボールをするでもなく、教室の中でおとなしくしている人間にたいし、純粋な軽蔑を抱く。 カースト最

女を振るにもルールってものがあるだろ、バカ

*この記事は、WEB天狼院書店で連載していたブログ「川代ノート」の再掲です。 *この記事はフィクションです。 「好き」の残骸が、まだあちらこちらに散らばっていた。とても寒い冬の夜だった。マンションの廊下から漏れる光で、薄ぼんやりと部屋の中が照らされているのが嫌で、ドアを閉める。蛍光灯の光の線が細くなって、そして消えていった。そのまま背中を玄関扉に預ける。はあ、とため息をついてしばらくもたれかかったまま、真っ暗な部屋の中でじっとしていた。 なんでだめになっちゃったんだろう、

【受験体験記】早稲田に行きたすぎてベランダから朝日に向かって叫んだ時の話

*この記事は、WEB天狼院書店で連載していたブログ「川代ノート」の再掲です。(2015年執筆) 4年前の3月4日、祖師ヶ谷大蔵駅。 私は恐怖と緊張で震えが止まらなかった。雨に濡れた子犬のように、ぶるぶると小刻みに戦慄する自分の手を抑えながら、そして気を緩めれば今にも涙が溢れてきそうな目頭に力を入れながら、携帯の電源を入れ、ゆっくりと受信ボックスを開く。 呼吸は乱れ、全身が心臓になったみたいだ。 緊張しすぎて、どうにかなりそうだった。 高校二年生の冬からずっと、ただ第一

トムヤムクンヌードルに負けた女

「ちょっと待ってよ。じゃあ私、トムヤムクンヌードルに負けたってこと?」 マサルの彼女は、怒っていた。ものすごく怒っていた。そして泣いていた。怒りのあまり泣く人間を見たのは、生まれて初めてのことだった。小型犬が威嚇しているときみたいなシワが顔の中心によっていた。けれど、その顔を見てもどうすることもできなかった。トムヤムクンヌードルと箸を持ったまま、マサルは固まっていた。頭の中ではトムヤムクンヌードルと彼女がシーソーの上に乗ってゆらゆらしていた。なんて答えればいいんだろうか、俺

犬を見たい人と犬を見せたい人をマッチングするサービスがほしい

  犬を見たい。禁断症状が出ている。1年前に死んだピース(トイプードル・14歳没)の残像がちらつくほどにはしんどくなってきている。くっ。ピースと暮らしていたのはもう6、7年も前なのに、いまだにキッチンで玉ねぎのかけらを落とすと「やばっピースが」と慌ててしまう(犬はネギに弱く食べると中毒症状を起こし、死ぬこともある)。キッチンの下で「伏せ」しながらも、チラリと白目をのぞかせ虎視眈々と頭上から降ってくる食材を狙うときの、あのがめつさといったらなかった。落ちてくるものは別になんだっ

ダメ就活生だった7年前の自分が書いた文章が古いUSBから出てきて爆泣きしてしまった

なんだ、この43ページもあるファイル。 リモートワークで重くなったPCを整理していたときだった。古いダウンロードファイルやいらなくなったソフトを削除しているとだんだんスイッチが入ってきて、もうついでに古いUSBのデータも整理しちゃおうと思い至った。ついさっきのことだ。 昔書いた記事や留学時代の写真まで、とくに整理せずに古いファイルがまるっとぶち込まれていた。こりゃカオスだな、とひとり呟きながら「ブログ更新用データ」と書かれたフォルダを開いてひとつひとつ中身を確認していると