ネガティブな思い出も、良い人でありたいと願う気持ちも ~インサイドヘッド2~
人の感情をイラストやストーリーでわかりやすく描くとこうなる。
そう思ったのが「インサイドヘッド(1)」だった。
ほんの少し、心理学やカウンセリングの勉強をした私にとっては「うまいなあ」と感心が先に来てしまい、となりでむせび泣く息子をほほえましく思ったものだ。
それでも好きな映画の一つ。喜びを心から感じるには、自分の中の悲しみや怒りの感情も認め、受け入れること。その辺りを上手に描き、ストーリーによって説得力を持たせている。
だから「インサイドヘッド2」で、思春期の頭の中をどんな風にストーリーとして描くのだろうと楽しみにしていた。
※ストーリーには触れませんが、多少のネタバレはあります。
思春期に入ると、「心配」「だるい」「恥ずかしい」「羨ましい」の感情が強く出てくる。
それまでの「喜び」「悲しみ」「怒り」「怖がり」「不快」は脳で指令を出すと、過剰に表現されてしまうし、そりゃ本人も戸惑っちゃうよね。
そんな思春期の感情をわかりやすく描いていて、そう言えばあの頃はコントロールしにくかったと、ちょっと前のように思い出す。そして自分の子供に対しての戸惑いも、納得させられる。そうだよな自分もそうだった、仕方ないんだよなと思う。
思春期はホルモンによるものが大きいから、更年期に入ってからやたら不安感におそわれるのも、脳内でこんなことが起きているのかも。なんて、今の自分にも通じている気さえしてくる。
全体的に「1」より、感情を揺さぶられた。
特に終盤の、たくさんの思い出と言葉が交錯するところ。
人は、良い思い出ばかりの「良い人」と、イヤな思い出ばかりや心配にとらわれた「ダメな人」のどちらか、だけでない。
イヤな思い出は、たいてい封じ込めておきたいもの。それを思い出してしまう自分がイヤだったり、早く忘れてしまいたいと願う。そういう記憶にとらわれて苦しい時もある。
でも。イヤな思いをした時の自分を否定しなくて良い。そしてそんな時があったと思い出してしまう自分も否定しなくて良い。
そんな中で良い人でありたいと思う自分もいて。全部が自分。
むしろ複雑にできているから、人には魅力がある。そんなふうな誰かのことも受けいれられる。
観ているこちら側がカウンセリングを受けているような感覚になって、気持ちがやわらかくなった。
ところで今回、両親の脳内が笑えたのと、今の私がしょっちゅう感じる「懐かしい」が、時々顔をのぞかせるのが可愛かった。確かにあのころから少しずつ「懐かしい!」って言い始めていた気がするなあ。