【書評】謎が残る息子の空白の時間~『あの日、君は何をした』
新聞広告で見かけて以来、ずっと気になっていた本です。ようやく読むことができました。まさきとしかさんの『あの日、君は何をした』。
1、内容・あらすじ
北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。4人家族で、平凡ながら幸せな生活を送っていました。
ある日、息子の大樹が深夜に自転車で家を抜け出し、警察に職務質問を受けます。
なぜか警察から逃げ出した大樹は追跡され、車に激突して死亡。
絶望のどん底に落とされ、悲しみに暮れていたいづみでしたが、ふと疑問を覚えます。
「大樹はなぜあの夜、家を抜け出したのか? 深夜に一体何をしていたのか?」
それから15年後、新宿区で若い女性が殺害される事件が起き、重要参考人の不倫相手が行方不明になります。
捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える15年前の事件とのつながりを発見。ついにあの時の真相が明らかになります──。
2、私の感想
タイトル通り、「あの日、息子の大樹は何をしていたのか?」というのがこの小説の最大の謎で、それを知りたくて知りたくてどんどん読み進めてしまいました。途中で止めることは不可能でした。
そしてその謎が完全に明かされるのは最後の最後なので、必然的に一気読みを強いられます(笑)。時間のある時にノンストップで読むといいと思います。
結末は非常に驚きでした。全く予想がつきませんでした。もし大樹があの時死ななかったとしても、この家族はどうなったのかな……などと考えてしまいました。
読み終わってイヤな気持ちにはなりませんが、家族や幸せについて色々と考えさせられることは間違いありません。
3、こんな人にオススメ
・読書に没頭したい人
あっという間に作品世界に入り、浸ることができます。
・精神的に余裕のある人
イヤミスではないのですが、家族のシビアな問題が描かれるので、落ち込んでいる時に読むとやられるかも……。
・時間のある人
途中で中断するのがもったいない小説なので、「今日一日何しようかな」という人にぜひオススメです。