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【書評】自由すぎる女子の日常〜『麦本三歩の好きなもの』(住野よる)
『君の膵臓をたべたい』で一世を風靡した、住野よるさんの『麦本三歩の好きなもの』の書評です。
1、内容・あらすじ
図書館に務める20代女子・麦本三歩。
布団の誘惑と戦い、先輩に怒られ、先輩に優しくされ、よく噛み、好きなものを食べ、浮いた話は今はなく、友達と出かけ、仕事に行きたくないと思い、仕事をサボり、それを先輩に見つかり……。
そんな三歩の、平凡なようで平凡ではない日常が描かれます。
2、私の感想
要約するのがとても難しい小説です。このあらすじだけではちっとも面白さが伝わらないことでしょう。
しかし、非常に中毒性の高い不思議な小説です。
『君の膵臓をたべたい』のような悲しい話を想像して読むと、あまりの違いに面食らいます。
麦本三歩という、かわいらしいけどボケボケしている女性の日常の描写がじわじわとボディーブローのように効いてきて、気がつけば三歩の虜になってしまっています。
何かびっくりするような大きな出来事が起こるわけではないのですが、なぜか面白く、つい読み進めてしまいます。
このまま三歩の生態をずっと読んでいたいなあ、と思うほどです。
文体のせいもあるのかもしれません。
非常に自由自在な文体で、独特のリズム感にあふれているのです。ちょっと太宰治を連想しました。『ろまん燈籠』や『御伽草子』の太宰治です。私だけかもしれませんが。
一読の価値はある小説です。なお、続編が出ているらしく、「ついに三歩にも後輩が……」などと紹介文に書かれてありました。読みたくて仕方がありません。
3、こんな人にオススメ
・「天然だ」と言われる人
私も読みながら「三歩的な知り合い」を思い浮かべていました。
・「君の膵臓を食べたい」を読んだ人
こちらの方が住野さんは本領を発揮しているのかもしれません。
・ほっこりしたい人
あまり重たい小説を読みたくない、という人には最適かと。