【書評】桜のように散ってしまう難病~『桜のような僕の恋人』(宇山佳佑)
普段、本を読まなさそうな生徒が図書室から借りて行ったので、私も読んでみました。宇山佳佑さんの『桜のような僕の恋人』。映画化もされるそうです。
1、内容・あらすじ
朝倉晴人はかつてはカメラマンを目指していましたが挫折し、今はレンタルビデオ店でアルバイトをしているフリーター。
そんな晴人は、偶然入った美容室で出会った美容師の有明美咲に一目惚れをします。
彼女に認めてもらいたい一心で、晴人は一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指し始めます。
そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士に。
しかし、幸せな時間は長くは続きませんでした。美咲は、人の何十倍もの早さで老いる難病を発症してしまったのです。
老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は、ある決断をします──。
2、私の感想
「何という残酷な病気なんだ……」というのがまず第一の感想です。
作者の創作なのだろうか、と思って調べてみると実在する病気とのこと。しかも日本人に多いのだとか。
こんな病気にかかったらたまったものではありません。まして若い女性ならその苦しみはいかばかりか……。
「恋人が難病にかかってしまった」という小説はよくありますが、病気が残酷であるという点において、他の作品とは一線を画します。
最後の方はかわいそうすぎて見ていられないほどです。映画は特殊メイク技術などを駆使して描かれるのでしょうが、かなり胸が痛い映像になりそうです。
「自分だったらどうするだろう」ということを何回も考えさせられる小説でした。
3、こんな人にオススメ
・若い人
会話文が多く、非常に読みやすいです。読書ビギナーにもオススメです。
・写真が好きな人
「そうか、写真はこういう時に人を救うこともあるんだな」と思いました。
・中島健人さんのファン
映画版の主演です。新しい層が読書をするきっかけになってほしいです。