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Hanamon
2015年10月16日 00:20
改札を一歩出ると 肩が抜けそうな程の溜息と同時に ヒールの痛みがつま先へぐっと食い込んでくる家まではあと3分 だけど もう一歩も動けそうになかったこんな時間までメイクがただれるほど働いて 私一体 どうなりたかったんだっけ?「いや 知らんよ」といわんばかりに 駅前のコンビニは元気に照明を炸裂しているですよね とつぶやくと 抗えない蛾のように その眩しい入口をふらふらと目指
2015年10月8日 23:49
アラームが枕元でけたたましく絶叫した瞬間 私は極彩色の悪夢から現実の朝へ急浮上したその真っ赤な鮮血の残像があまりにもクリアだったので 本当に刺されていないか震えつつ脇腹を確認してみたほどだ数えた事もないが 繰り返し繰り返し一人ぼっちの私を襲ってくる悪い夢ともかく 生きている事に安堵しつつ 呼吸を整え 現実の周波数を捉えようとスマホを開いてみる誰かの熱愛も殺人もデモも詐欺も ベッドの
2015年10月4日 18:45
「宗像の叔父が亡くなった」突然の母からの電話の後 慌ただしく帰り支度をし 私は旅先から九州へ向かった。もう近影を思い出せないほど疎遠だったが深夜の高速を急ぐ間私は帰省の度に叔父が買ってきてくれた甘く柔らかい筑紫もちの事をずっと考えていた。斎場に着き 最期の拾骨を待つ間 私達は「親戚」というだけで例え初対面でも親密に泣きあった。二年顔を見なかった祖母は「叔父さんが引き
2015年10月4日 18:39
「・・・あ、始発。」 蛇の指さす方向、鈍色の建物をかすめて 電車が滑りこんでくる。空が明るみ始め 徹夜明けで汚れた顔の私は 彼を見ることができない。代わりに 指の先の緑の車両を目で追って うん とうなずくだけだった。 「でも、お前らしくなくて うけた。 今回は」と 蛇。仕事の失敗も、弱音も、色々珍しいしだいたい「だいたい俺に 手伝わせるなんてさ」 と、歩きな