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大河「光る君へ」(28)一帝二后

 あー暑い超絶暑い。聞くところによると今週が一番暑いそうな。水分塩分取って何とか乗り切りましょう。オリンピックも始まるし全力応援!
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえ右近ちゃん」
右「なあに侍従ちゃん……って、どしたのその顔。飲みすぎ?」
侍「ちっがあううう!定子さまとききょうちゃんのやり取りが良すぎて尊すぎて……アタシ、録画してもう三回は観ちゃった……ああ思い出したらまた涙がうわああああん」
少「わかります、わかりますわ侍従さん!いつまでも一緒にいておくれなんて、女房からしたらこれ以上の言葉はありませんわ……!」
王「みな人の 花や蝶やと急ぐ日も わが心をば君ぞ知りける、からの、いつも、いつも……は泣けたわね。全平安女房ズのハートを打ち抜いたわあのシーン」
右「全員瞼パッツパツじゃん……(ヒクッエグッ)」
侍「右近ちゃんもじゃん!何なら一番泣いてんじゃん!」
王「私たち、『源氏物語』(ひかるのきみ)の中でそれぞれ最推しの死に遭ってきてるものね。そりゃ響くわよズドンと」
少「ご出産前から死を覚悟していらしたんですね定子さまは。お歌がどれもこれも涙なくしては見られません」
右「(涙を押さえつつ)定子様がさ、帝に
『どうか、彰子さまとご一緒の時はわたくしのことをお考えになりませんよう』
って仰ったじゃない?これ、聞きようによっては物凄い傲慢な、あざといセリフなんだけど、定子様だと何というか……もうすべてを超えていくというか……光輝く美しさって容姿だけじゃないんだわって」
王「ああ、わかる。彰子さまへの思いやりも勿論ある、あるけど裏を返せば
(わたくしと二人の時はわたくしのことだけお考えになって)
というお気持ちも明確に見えるセリフよね。これはガツンと来るわ……そりゃあ『偽りでも何でもいい』ってお気持ちになるわよね帝も」
少「偽りのわけございませんわ……言葉と心は裏腹ですもの。いけない、また泣けてきました」
侍「うわあああん!キリがないいいい!」
 ……全員涙ドバーの鼻水ズビーなので暫くお待ちください……
右「というわけで侍従ちゃん、道長くんよ。やっちゃったわねついに。生きるか死ぬかの状況でまひろ、ってうわ言」
侍「エーすっごいエモいシーンだったじゃん?!まひろちゃんの祈りが通じてんじゃん?!さっすが愛よね愛!うん!」
王「倒れたのが高松殿で命拾いしたわね道長くん。オカルトなこと言うようだけど、土御門邸だったらまひろちゃん、夢でも入り込めなかった気がする」
少「倫子さまお強いですものね。あくまで穏やかな口調ながら、百舌丸への詰めようは背筋が寒くなりましたわ」
侍「『殿はもう三日も高松殿に?』ってやつね!ヒッてなった!明子さまとのバッチバチもヤバヤバ!アタシなら泣く!」
右「倫子さまにとって、現状わかりやすいライバルは明子さまなのよね。だけど真実はそうじゃないってことに、いつ何によって気づくのか」
侍「あー道長くん、ゼーンゼン嬉しそうじゃなかったもんね。明子さまのお顔見たときも、土御門邸に帰ってきたときもシラーってかんじで。あっあとさ、宣孝サンがご挨拶に来て(まひろちゃんに)女の子が生まれたんですヨーって自慢した時!何気に舌打ちしてたのアタシは聞き逃さなかった!」
王「煽った宣孝さまも宣孝さまとはいえ(すき♡)ほんっとまひろちゃんのことに関してはトコトンお間抜けになるわねえ道長くんは」
少「そこがお可愛らしいところなんですけれど(何回目)次回はまた大変ですわね色々と」
右「ああ……また目元ケアしとかないと」
侍「エッエッ?!やめてよおおおおお怖いいいいいい!!!ま、また来週!!!」

 いやー今回はまたいわゆる史実と見なされているエピソードがテンコ盛りで映像化されていて、私のようなニワカ平安ファンにも胸熱なシーン満載でした。
 彰子の「笛は聴くもので見るものではございません」というセリフも、今まで殆ど口をきかず表情も変わらないキャラであったればこそ、おお!てなりますよね。正直、私の持っていた彰子のイメージとは全然違うんですが、これはこれでアリ!とまたしても思わされました。いつ彼女が笑顔を見せるのか、どういった出来事でどういったタイミングになるのか、楽しみです。
 さらに行成のセリフ!
 后と名の付く方々が全員出家されていて、神事ができない。帝たるもの私情で動いてはならない。このままでは世が乱れるばかりである、彰子を中宮として神事を行うべし。
 カッコエエ!
 ぐうの音も出ないとはこのことですね。全公卿文句なしの正論です(ここの絵面でまたロバート実資がいい仕事してる(笑))。こりゃ後世にも残るわけですわ。
 そして道長の、日記(御堂関白記)を消した下り。うわーこんな細かいエピソードやりますか!!!(歓喜)となりました。監修の倉本先生曰く、
「本来はドラマのような太い一本線ではなく、五本の細い線で消されていた」
そうですが、行間の隙間まで拘って撮り直しまでしたそうな。スゴイ。

 そしてそして、女房ズ全員大号泣の「定子と清少納言」エピソード。この二人がかように美しくかつ温かく描かれる理由はひとえに「枕草子」の力に他なりません。第三子妊娠中の定子が、清少納言に差し出された青ざしを敷いた紙を切って歌を詠んだエピソードは「枕草子」第二二四段。時期がはっきりわかる定子の記事はこれが最後だそうです(「枕草子 下」角川ソフィア文庫より)。この再現はヤバかった……定子が亡くなった場面よりむしろ此方の方がキツかったです。
 大河が始まった頃は「源氏物語」にばかり頭がいっていて、「枕草子」にこんなに感動させられるとは思ってもいませんでした。
 面白いのは、演じる役者さんたち自身もフィクションの世界を通してその心にシンクロしているところ。この二つの記事を読むと「物語の中にこそ真実がある」と光源氏に言わせた紫式部は正しかった、と思えてなりません。

 ドラマの役柄とはいえ
「私にとって少納言は、『荒波の中で唯一つかむことができた花』みたいな存在」
 なんてこと言われたらもうね。一生ついていきます!って気持ちになりますよね、いや本当に。
 実際にはここから清少納言が「枕草子」をじっくり書き上げていくことになるんでしょうが、ドラマ内でまた時々まひろん家に遊びに来ればいいのになあ。書き疲れたからお茶のみに来たわ~とかいって。源氏物語の批評会とか、「いかにお互いの作品をより多くの人々に読ませるか」作戦会議とかどうよ(今度また妄想会話させよっと)。
 ではでは、また来週。
<つづく>

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かわこ
「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。