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大河「光る君へ」総集編 終

 さあやっと最終巻。こんな長くなる予定ではなかったのですが例によって無計画無節操なワタクシの不徳の致すところにて、ご容赦くださいまし。
 モタモタしてたらもう「べらぼう」第二話きちゃったじゃん!!感想はまとめてやります!!
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。「光る君へ」は既に終了しておりますが、総集編がこれまた単なるおまとめではなかったので急遽女房ズを召集しました。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少) 

侍「ねえ右近ちゃん……グスッ」
右「なあに侍従ちゃん、て何泣いてんののっけから」
侍「えーーーだってさあ……アタシ気づいちゃった。道長くんが大量の越前和紙を贈りつけて、まひろちゃん家で一条帝の情報を語るシーンあるじゃん?」
右「あー、総集編最終巻の冒頭ね。
『直秀も月におるやもしれぬな』
『誰かが、今俺が観ている月を一緒に観ていることを願いながら、俺は月を見上げてきた。皆、そういう思いで月を見上げているのやもしれんな』
道長くんにしては良いセリフだったわよね。私もちょっと泣けた」
侍「右近ちゃん、なんか道長くんに優しくなったじゃーん最終巻だからー?ってそこじゃなくてね!!いや良いシーンなのはアタシも100%同意なんだけどー、そうじゃなくて月よ月!!この時の月って満月だったじゃん?!ミッチミチの満月!!」
王「あっわかった。侍従ちゃんさすが」
少「まひろさんと過ごしたこのひとときが、道長さまの人生におけるピーク……ということでしょうか」
侍「そうそうそう!!!だってここでまひろちゃん覚醒じゃん?!不朽の名作『源氏物語』が生まれる一瞬前だよ?!エネルギーチャージ100%ってコトだよねあの満月!!!」
右「そっか。道長くんが『望月』の歌詠んだ時の月は満月じゃない、少し欠けた月だからね。この時が最高潮!ってわけか」
王「この世ならぬ別次元に飛んだまひろちゃん、からの天から降ってくる色とりどりの紙、のシーンだものね」
少「胸熱ですね。道長さまが朝廷における頂点を極めることなど何ほどでもない、このお二人によって『源氏物語』が産み出されたことこそが尊いのだと……そういうことですよね」
侍「うわーーーんそうなの!!!もはや愛や恋を超えてるジャン?!二人にとっても一番幸せな時間だったと思うのー!!もう何だか泣けてきちゃってーーー!」
王「そうね、『源氏物語』みたいな平安超大作が書かれるためには、
『半端ない知性と才能、物語愛を持つ女房』(=紫式部)
『大量の紙を提供し良き執筆環境を与えるパトロン』(=藤原道長)
の二人が揃わないと無理だもの。恋愛関係があろうがなかろうが、この図式は盤石」
少「よくもよくも条件が整ったものですわね。その事実自体、どんなドラマよりドラマティックですわ」
右「やっぱり源氏物語なのよね、このドラマの中心は。総集編で、ここから『桐壺』とか『若紫』とか巻名に沿ってまとめてるの、執筆ライブ感あってよきだわ」
侍「まひろちゃんのっけから攻めてるヨネ!帝思わずそっ閉じしてたのに続き、続きを…!ってなっちゃってるのさっすが!」
少「為時お父様に
『お前が女でよかった』『我が家の誇りだ』
と言われたこと、まひろさんは本当に嬉しかったんですね。宮仕えも決まりお父様にも認められて、行き惑い堰き止められていた流れが一気に進むべき方向にほとばしった感があります」
王「まひろちゃん、今大河でも陰キャ扱いされてるけど別に意思が弱いわけじゃないのよね。むしろメッチャ頑固のつよつよ。逃げ帰るタマじゃない。女房の局がおよそ執筆には向かない環境だったから一旦里下がりした、の方がぜんぜん説得力ある。それを上からの映像で一目瞭然にしたところは今大河のお手柄よ」
少「本当の紫式部さんもきっとそうだったのではないでしょうか。ただただ書きたい、その一念だったと私も思います」
右「次の『若紫』は欲張りセットだったわね。道長くんのスペシャルオーダーメイド『逃げた小鳥』扇に、若紫になりたい彰子さまの
『お慕いしております!』
匂わせ~の察して~の平安時代にあえてのド☆ストレート告白、お姉さん眩しすぎて目が潰れるかと思ったわ」
侍「続いて賢子ちゃんと双寿丸くんのキラッキラ☆ボーイミーツガールが追い打ちイ!賢子ちゃん、まひろママと恋バナしてたってコトだよね可愛い!」
王「一方、同じ『若紫』巻で明かされる藤壺宮さまの密通と妊娠……古傷が痛むわ」
右「あれさあ道長くんさ、まひろちゃんに
『(不義は)わが身に起きたことにございます』
『わが身に起きたことはすべて物語の種にございます』
まで言われて、まさか賢子ちゃん俺の子?!て思い当たらないってどうよ?この時点で察したのかとずっと思ってたわ。アホボケ間抜けすぎでしょ道長ア!」
侍「右近ちゃん爆速で元に戻ったー!」
少「ひとたび物語になってしまえば、何もかも霧の彼方だというまひろさんの言葉に、完全に煙に巻かれてしまったんですね道長さまは」
王「正直、筆が乗ってる時は道長くんどうでもいいや・ていうか邪魔?みたいな感じだったものね、まひろちゃん」
右「まひろちゃんもこのあたりの回想は彰子さま関連ね。『葵』、『蛍』、『柏木』まで道長くんの出番なし」
侍「それどころか『罪を犯した』柏木くんが苦悩する場面書いてる辺りからイキナリ
『あなたと殿はいつから?』
てえええええ!やっぱメッチャ気にしてたんじゃんまひろちゃん!」
少「倫子さまの仰ったこと一言一句余さず覚えていらっしゃるんですね。お二人ともよくぞご自分を保たれました。改めて天晴ですわ」
王「この秘密は死ぬまで胸にしまっておけと言われたから、一切記録が残ってないって理屈か。よくできてるわドラマとしても」
右「私、総集編ではじめて気がついたんだけど、倫子さまと双寿丸って共通点多くない?いわゆる『学問』的なものは苦手で本も読まないんだけど途轍もなく地頭がいい。何でも器用にこなすし、情に流されず常に最適解を掴み取る。賢子ちゃんが双寿丸に『(大宰府に)一緒に連れてって!』って頼んで断られるエピソード、まひろちゃんも感慨深かったのかもね。双寿丸は大人なのよ。そりゃ武士の世界でのし上がりますわ、何不自由ない貴族のボンとは違うんだわ。聞いてるか道長ア!」
侍「出番なくても怒られる道長くん!!」
王「『源氏物語』の役割は終わった、新しい物語を、なーんてハア?な失言しちゃってるしね。いくら三条帝とうまくいってないからってコレはないわ」
少「道長さまの甘えをピシャリと切ったまひろさんの答え『物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ』は名言でした」
右「この辺の並びも意味深ね。賢子ちゃんを宮仕えさせて自分は去る、病に倒れる前の道長くんとの最後の対話……『これで終わり』って本気で最後通牒だったのねえまひろちゃんにとっては」
王「望月の歌、廃屋の月のフラッシュバックに続いての未公開セリフ、
『あの人が書かせてくれた源氏物語はこの先どれほど読み継がれていくのだろう』
これね、さっきも同じようなこと言ったけど、二人に恋愛関係があろうがなかろうが成り立つ言葉じゃない?もうドラマの範疇超えてるわこの一言」
少「しっかり千年残りましたものね……」
右「落ちて壊れた鳥籠、どこへともなく旅立つまひろちゃんと乙丸、そこには双寿丸の姿もなく、道長さま嵐が来るわの呟きもなく」
侍「ただ
『めぐりあひて 見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし夜半よわの月かな』
……くーーーーカッコよ!!!本編が、物語の先に続いてくリアルを見せて終わりにしたんだとすれば、総集編は細かいことはええんやで!!何もかも一瞬でしかないんだもん!!それを承知で止まらず前に進んでいくこと、それこそが『永遠』と呼ぶものじゃないの?って感じー!!」
右「決まったわね侍従ちゃん。丸っと同意よ」
少「お蔭様で私たちもこうしてここに存在していますものね……感激ですわ」
王「総集編談義もこれにて完結!ね。さて、今回侍従さまから『永遠』いただきましたので、不肖ワタクシ王命婦が音頭を取ります。一本締めでよろしく」
右「オケ!」
少「了解ですわ」
侍「ハーイ♪シンプルいいね!!」
王「では皆さま、お手を拝借。よーーーーーーーおっ」
 パ  ア  ン  !
全員「ありがとうございましたーーーー!!!」
(大拍手)

 はーーーー終わりました終わりましたやっと。年末から早二週間、長かったですわ(←)。
 一連の記事書く上で、走り書きしたメモや以前の記事見返したりしてたんですが、女房ズともども初めて気づいたこと結構ありました。この大河がどれだけ多くの人々の手と心が入っているか改めて思い知りましたね……制作陣の皆様、一年間大変お疲れさまでした。お蔭様で平安沼ずっぽりです。こりゃ半永久的に抜けられないかも。そこでご提案なんですが、培ったノウハウを活かしてドラマ「宇治十帖」、七話完結くらいでやってくれませんかねえ。あのストーリーなら普通にいけると思うんですよ、キャラ造形バッチリだし。薫のウダウダグダグダっぷり観たい。
 さて、もう次の大河も始まって此方も大変面白いですし興味は尽きませんが、まだ追っていたい平安・紫式部・源氏物語についての備忘録(妄想)をここに書き留めておきます。当たり前ですが歴史の新説でもなんでもない、ただの妄想です妄想。
【かわこ妄想】始
「源氏物語」の始まりはやはり越前で手に入れた紙なんじゃなかろうか?
 ドラマではド真面目な為時パパが余剰分の紙を返そうとしていましたが、そんなことは多分ない。普通に貰ってた可能性大。そもそもそれを見越して越前についてったんじゃないか紫式部も?
 だけど「越前サイコーだったわ」「よっしゃ紙大量ゲット!」的なこと書き残したら色々ヤバいので帰京前にすべて始末、「越前寒くて嫌はよ京に帰りたい・京がやっぱサイコー」的な歌のみ残した(当時の平安貴族女子仕草としては「京こそ至高!京しか勝たん!」が正解。ウッカリ地方の何かを褒めるとあの人も鄙びちゃって~とバカにされたりする)。
 帰京後にその紙で短めの物語をいくつか書いて、それが徐々に広まり評判に→宣孝を通じて道長の知るところとなり、面白いジャン!よおし紙は供給するゾ☆彰子サロンを盛り上げるためにキバってや!になった……としたら。
 そうするとやっぱり「桐壺」は宮中に入ってから書いた気がするのよね。「光源氏」のキャラを固めるためのエピソード0。それでも相当攻めた内容なので、道長のバックアップが盤石とみないとなかなかできることじゃない。そうか、それ考えると男女関係アリ説も頷けなくもない?(それ恋愛じゃないだろ、とは今でも思うけど)。
【かわこ妄想】終
 この辺、まったく資料も何もないので自由に書けそう。そのうちここにトンチキ小説めいたものを書くかもしれません。あとね、女房ズに手伝ってもらって「伊勢物語」も読破したいんだよなあ。ほら、今年は在原業平生誕1200年だし。さあできるかな私!(背水の陣)
 そんなわけで(どんなわけだ)「光る君へ 総集編」記事はひとまず締めさせていただきます。長々おつきあいありがとうございました!
<つづく>
→「源氏物語を読みたい80代母のために」企画はまだまだ続きます!

 


 

 


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かわこ
「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。