【KAWAII探訪】vol.8 京都府・西陣*カワイイ京織がま口ポーチ
こんにちは。
KAWAII COMPANY[カワイイカンパニー]企画担当のカリンコです。
この度、カリンコ史上最高にカワイイ和柄の織生地ポーチができたので、そのお話をつづりますね。
(今までのKAWAII探訪の様子はこちら)
織元 立野矢さんとの出会い
2023年夏、ご縁のつながりで、京都で1973年に創業された織元「株式会社立野矢」さんを訪れました。
素敵な笑顔で出迎えてくださったのは、現在代表をつとめる吉岡晶子さん。
創業者であるお父さまから会社を継がれたそうです。
そう話してくださる吉岡さんの背後と、お話を聞いている私たちの背後には、膨大な量の巻物が積まれています。
「これは全部、西陣織なんですか?」とお尋ねすると、
「西陣織と同じ織り方なんですけど、『京織という織物なんです」と吉岡さん。
「京織」って?
「京織®」とは、立野矢さんが立ち上げたブランドで、京都西陣織の伝統技術を活かした、新しく自由な織物のこと。
一体どのような経緯で、独自のブランド「京織」を立ち上げることになったのでしょう?
独自の道を進む信念
創業当初は西陣織工業組合に入り、主に帯づくりを営んでいた立野矢さん。
しかし帯だけでは飽き足らず、織機の種類を増設。
西陣織として初めて異素材(箔や金糸など)を使用した和装製品づくりに成功し、本格的に、草履やハンドバッグなどの和装小物づくりを開始。
さらにはネクタイまでも製作されていたそう。
当時の業界では、「西陣織といえば帯」という固定概念が根強い風潮だったため、お父さまは異端児のような存在だったそうです。
そしてお父さまのお手伝いをしていた吉岡さんもまた、織生地の表ではなく裏面を使ったりと、大胆な発想でものづくりをされていたのだとか。
(親子揃って異端児すぎる!かっこいい…!)
伝統を守るのは大切なことだけど、
自分たちが守りたい、守り続けないといけないと思っているものって本当は何なんだろう?
もっと幅広い分野の織物を目指したい……!
この素晴らしい伝統産業を、現代の暮らしに寄り添う形で守りたい……!
そんな熱い思いを胸に、西陣織工業組合から飛び出すことを決意。
こうして「日常に織物を・・・」をコンセプトに掲げた『京織』が誕生しました。
我ら感激……!
立野矢さんの挑戦し続けるかっこいい姿勢に、感銘を受けた私たちKAWAII COMPANYスタッフ一同。
そしてすでに京織の繊細な模様と、糸の美しい重厚感に惚れてしまっているカリンコ。
ぜひ一緒に商品を作らせてください!とお話し、企画が決まりました。
企画レッツスタート!
まずは模様から!
「模様は、オリジナルで作ることもできますし、すでにある図案を使っていただいてもいいですよ」と吉岡さん。
オリジナルで作るのも楽しそうだなぁと思いつつ、さきほど背後にあった巻物をじっくり見せていただくと……
まずその量にビックリ!
今写っているのはほんの一部で、まだまだいっぱいありました。
廃業された織元さんから譲り受けた図案なども集まって、気が付いたらこんなたくさんになっていたのだそう。
そして眺めれば眺めるほど、美しい模様に感動!と同時に、
こんなに複雑で繊細で、いろんな種類があって、それぞれに季節感や縁起の良い意味が込められている和柄って……やっぱり凄いよなぁと改めて感じました。
こんな素晴らしい和柄の織物に、カワイイカンパニーの「KAWAIIでみんなをHAPPYに!」というメッセージを込めたら、めちゃくちゃカワイくて素敵なものができそう……!と思い、貴重な図案を使わせていただくことに。
どの図案にするか迷いすぎて、選ぶのに2時間以上かかりましたが、なんとか模様が決定しました。
次は色決め!
「どんな糸が使えますか?」とお聞きしてみると、事務所の横にある工房で実際に使われている糸たちを見せていただけることに。
早速キラキラのラメ糸を発見!!!
普通の糸もつやつやに輝いてる!!!
たくさん色があって選ぶの楽しそう!!!
後日、蛍光の糸もあの手この手(?)で入手していただき、KAWAII COMPANYらしさ全開の色をGET!
選んでいた色糸の大半が廃番で無い!?なんてハプニングもありながら、何度も試行錯誤と試作を重ね、ようやく3種類のKAWAII京織生地が完成しました。
自信作!KAWAII京織!
カラフルでカワイイ織生地が、3つできました。
それぞれの模様と色のこだわりについてちょっとずつ触れてみます。
①変丸菱唐花紋(かわりまるびしからはなもん)
この模様は、菱・菊・唐草などの伝統的なモチーフをやわらかくアレンジした文様。
子孫繁栄や長寿などの願いが込められています。
唐草と花の縁取りを蛍光ピンクでピリっと利かせたのと、
背景の柄をサーモンピンクのラメ糸にすることで、
紫色の菊がキラキラの水面に浮かんでいるような見え方になりました。
②七宝華紋(しっぽうはなもん)
この模様は、仏教の経典に出てくる七宝の柄に華のモチーフを加えてアレンジした文様。
円がつながり続けている模様から、円満・調和・ご縁などの意味が込められています。
全体にはシックな深緑色のラメ糸を行き渡らせ、
円の中心部分に蛍光イエローと銀の目立つ糸を入れることで、
キラキラの輪の中で宝石がさらに輝いているような見え方になりました。
③段華紋(だんかもん)
この模様は、縁起の良い地紋を並べた地紋段に、華や菱・七宝のモチーフを加えてアレンジした文様。
ご縁の繋がりや無病息災の意味が込められています。
全体に濃い色(ネイビー色のラメ糸)を行き渡らせた上に
ミントや蛍光赤・銀などコントラスト差の強い色を乗せているため、
幾何学模様に奥行きが生まれ、立体的な見え方になりました。
まだ生地の段階だけど、もうカワイイ!!
自分が選んだ糸がこんな綺麗な模様になって本当に嬉しい……!
「うちは昔ながらの織機を使って、アナログな方法で作るのにこだわっているんです」とおっしゃっていた立野矢さん。
実際にカワイイ京織を織っている現場を見学させていただくことに。
昔ながらの製作現場を見学!
織機はとても背の高い機械で、工房は吹き抜けの2フロアに分かれていました。
2階で紋紙を織機に通し、1階では針が動いて生地が織られています。
まずは2階から見ていきましょう!
凄みポイント① 紋紙(もんがみ)
この機械に、穴がたくさん開いた図案をもとにしてできた「紋紙」を読み込ませて、下のフロアの織機を動かします。
あんなに複雑な和柄が、穴の配列だけで表せるなんて、不思議です……!
これは一体どういう仕組みで1階の織機に伝わっているんですか?と聞いてみると、
「私もよく分からないのですが、この2階にある装置をジャカードと言い、紋紙の指令により横糸を通すために経糸を引き上げたりして柄ができるんです。凄い装置なんですよね。」と立野矢さん。
なんでも、コンピューターの元となったアナログのプログラムだそうです。
(難しいことは分かんないけど、とにかく凄い。)
凄みポイント② 経糸(たていと)
そしてそのまま1階へ移動。
経糸が綺麗に張られています。
その数なんと10,368本!
1本絡まっただけで大参事になりそうなくらい、細い糸が密集して並んでいます。
「こんなに多かったら、経糸の色を替えたり、糸を交換するとき大変じゃないですか?」とお聞きすると、
古い糸から新しい糸をつなげる「たて継ぎ」という作業には、1日半もかかるのだとか……!
凄みポイント③ 綜絖(そうこう)
2階から機械から大量に伸びているこの紐らしきものは、「綜絖(そうこう)」という針。
綜絖の先にある小さな針穴に経糸が通し、紋紙の穴に合わせて上下に動いているそうです。
「もし糸が切れたりしたら、糸を通し直すの大変じゃないですか?」とお聞きすると、
そういうときは「綜絖屋さん」が何時間もかけて丁寧に修理してくださるそうです。
(綜絖専門の職人さんがいることに驚き!)
凄みポイント④ 横糸
ここでやっと、我々が選んだカラフルな横糸たちの登場!
カワイイ糸がするすると速いスピードで織機に吸い込まれていきます。
綜絖が上下することで経糸に隙間が生まれ、その都度横糸を通します。
凄みポイント⑤ 織生地
これまでの工程を全て順調にこなし、ようやく美しい模様が織り上がります!
まるで合成したかのような、現実離れしたカラフルさがKAWAII!
蛍光色は初めて使ったという立野矢さん。
「カワイイ柄を織っているときは、特に楽しいです!」と言ってくださり、私たちも嬉しくなりました。
ちなみに織機の横にはカッターが付いていて、織り上がった両端の耳は、カットされます。
この耳がフリンジ状の紐になっていて、めちゃくちゃカワイかったので、捨てずに置いておいていただくことに。
今度これで何かアクセサリーでも作ろうかなと企み中です。
最後に
実際に生地が織られる工程を知り、これが京織(西陣織)の技術かぁ~~、と感動しました。
「だけど最近は、コンピューターの機械で織るところも増えてきているんですよ」と立野矢さん。
「修理やメンテナンスも大変そうなのに、どうして昔ながらの織機とアナログな方法にこだわっているんですか?」とお聞きすると……
昔は全て分業で行っていたため「紋紙屋さん」や「綜絖屋さん」など、専門の職業がたくさんあったんです。
もうほとんどの職人さんはいなくなってしまったけど、それでも昔からずっとともに歩んできた数少ない方たちがいてくださっている限り、私たちもアナログな方法を続けたいんです。
とおっしゃった立野矢さん。
……格好良すぎる!好きだ…。
新しいものを生み続けるために「京織」というブランドを立ち上げ、
職人の貴重な技術を守りつづけるために昔ながらの製法にこだわる。
そんな2つの熱い想いを間近で感じ、
改めて立野矢さんと一緒に商品づくりに関わることができたことを誇りに思いました。
そんなこんなでできあがった今回のKAWAII京織ポーチ。
私たちの思いが詰まっているので、ぜひ手にとってみてくださいね!
おしまい。
実際に足を運んで訪ねてみれば、まだ見ぬ「カワイイ!」にたくさん出会えるかもしれない。そんな期待を胸にあっちへこっちへ旅する、その名も『KAWAII探訪』。▼今までの探訪の様子はこちら▼