「本を読む本」で読書方法をアップデート
本屋で手に取った本を読む本がとても良書だったので内容シェアします。
📚読み始める前に…
❓何が知りたかったのか
この本を読む前に知りたかったことは2点。
短時間で本を効率的に読む方法
本を読んだだけで終わらせない方法
実家の本棚を整理していた時に、積読本の多さに圧倒された。
「本読めてないな〜」「本が泣いている」と自己嫌悪に陥った。
自分の読書サイクルの何かをアップデートする必要性を感じた。
1ページ目から読む
通勤や寝る前に数日に分けて読み進める
そのまま読了もしくは離脱
読書をステップに分けるとすると、離脱率がとにかく高い!
結果、本棚には大量の積読本、心にはダメージを与えている。
というわけで、まず「1. 短時間で効率的に読書する方法」が知りたかった。
短時間で読書する、とはいえ身に付いていなければ本末転倒だ。
頭では一切考えずにひたすら読み進めれば良いということになってしまう。しかし、当然そういうことは望んではいない。
読んだ本がちゃんと身についたかも重要である。昔読んだ小説や自己啓発本も、改めて他人に紹介しようと思うと、本当に何も覚えていない時がある。
そもそも、本を読むこととはどういうことだろうか。「1ページ目から最終ページまでページをめくること」ではないはずだ。「本を読んだ」状態が定義できれば、あとはその状態へ最短で直行できるはずだ。
というわけで「2. 本を読んだだけで終わらせない方法」も知りたいと思った。
💬本を読む本に期待できる点
そんな中、手に取った本が「本を読む本」だった。読んでみようとおもたきっかけは3つ。
1940年に発行され、翻訳された本が世界各地で読まれている
アメリカの高校や大学で授業に用いられている一冊
読むに値する本を知的かつ積極的に読む規則が書かれている
半世紀以上前に発行されていて、かつ世界中で翻訳されているのはほぼ間違いなく良書だろうということで手に取った。読み終えた今でも、買っておいてよかったとひしひしと感じている。啓発される内容の多い、良書でした。
著者は、1902年生まれのM. J. アドラー(アドラー心理学の人ではない)。シカゴ大学で哲学の教授をやっていた人らしい。ブリタニカ大辞典の編集にも携わっていた人物。
✏️どんな内容の本なのか
🔥全体要旨
読書を四つのレベルに分け、それぞれのステップで思考すべき事柄をリストアップした読書の指南書。
初級読書とは、個々の単語を識別し文の意味が分かること
点検読書とは、与えられた時間内に「①全体として何に対する本か」「何がどのように述べられているか」を把握すること。
分析読書とは、「③本に書いてあることは真実か」「④それにどんな意義があるか」に答えること
シントピカル読書とは、読者自身の主題に対して文献表を作成した上で全て点検し、主題の観点を明確にすること
少々強引だけれど、要旨としては上のような感じである。
🔰(LV1)初級読書
外国語の教科書を読むときは、単語の意味を理解するのでやっとで、パラグラフ全体の意味を考えるのは難しい。この段階では、単語の意味がわかり、文章の意味が分かれば合格である。母国語であれば、小学校低学年ぐらいでクリアできるようになる。
🚓(LV2)点検読書
点検読書のフェーズで目指すべきは、「短時間でできるだけ本の内容を把握すること」。
点検読書の際に、筆者はあえて時間制限を設けている。
最終的に短時間で可能な限りたくさんの本を点検したいからである。
筆者によると、分析読書に値する本は100冊に1冊か1000冊に一冊程度。
そう言った本に巡り会うためには、一冊一冊最初から最後まで読み切るのではなく、「本の取捨選択」を効率的に行う必要がある。
点検読書とは、「読むに値する本」かどうかを選定するための作業でもあるのである。
読者としてやるべきことは、30分以内に、内容をできるだけ把握する。
具体的には、
どんな種類の本なのか
全体として何を言おうとしているのか
そのために著者はどのような構成で概念や知識を展開しているのか
を本などに記録する。
🔍(LV3)分析読書
分析読書で目指すべきは、「筆者の意図を適切に理解した上で正しく批評すること」。分析読書では、時間制限はない。取り組んだ本を自分の血肉にするまでに、徹底的に読み抜く。
すでに点検読書の段階で済んでいる、
全体として何に対する本か
何がどのように述べられているか
に加え、分析読書では以下の2点を追求する。
本に書いてあることは真実か
それにどんな意義があるか
このフェーズでは、筆者の意見に対して、批評できる程度まで理解することを目的としている。
そのためにはまず、筆者の立ち位置や主張の根拠を理解することに徹する。議論のエチケットとして、まず相手(筆者)の意見を理解することから始めるというわけである。(自分の意見を理解されていない状態で批判されたら誰だって腹が立つものである)
その上で、「この筆者の言っていることは本当なのだろうか」「自分はこの意見には賛成/反対である、なぜなら◯◯の点で筆者は正しい/誤っているからだ」などと批評しながら読み進めていく。
つまり、本を読み終わった頃には主題に対してきちんと自分の意見を持っている状態になっているのである。
📚(LV4)シントピカル読書(比較読書法)
大袈裟にいうと、シントピカル読書では、読者と著者の主従関係が逆転する。分析読書では、筆者の意向を理解することに重点を置いていたが、シントピカル読書の段階では、「自分の主題」が一番重要となる。
読者自身が主題を設定し、主題に合う文献をリストアップすることから始まる。本は読者の主題に対する従者であり、読者の主題に適合しなければ削ぎ落とされる。
具体的なステップとしては、
読者自身が主題を立てる
主題に関する文献表を作成する
文献を全て点検し、主題と密接な関連のある本を調べる
主題の観点を明確に捉える
というような流れである。文献表を作成する件は大学の卒論で先行研究を集めるような手順と似ている。
「本を1ページ目から最終ページまでめくる読書法」と比べれば、遥かに効率的に主題を明確に捉えることができることが想像つくだろう。ちなみに「シントピカル読書」は筆者の造語である。
🔰自分の気付き
「本を読む本」で読書法は大きくアップデートされた。
(少し乱暴だけれども)本を真面目に1ページ目から最後のページまで読まなくても良い
与えられた時間内にできるだけ内容を把握するような読書をしたことがなかった
題名や目次を今まで軽視していた
論理が破綻しており、そもそも読まなくても良い本が圧倒的に多いという事実
20代後半にもなって恥ずかしながら、読書の方法についてこんな風に体型立てて教えてもらったのは人生初めてだったので、とても新鮮な学びがあった。
中高の学校の宿題では、「1ページ目から最後のページまで順番に読んだ」あと、読書感想文をかいて提出することが正義であったため、以来真面目に1ページ目から読み続けてきたけれど、「そもそも読む必要のない本がたくさんある」ことに心が軽くなった。
点検読書を素早くできるように練習したり、良書については分析読書を試みて他人と議論できるレベルまで身につけてみようと思う。
「本を読む本」、良書なので気になった方はぜひ読んでみてください!
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