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小津安二郎先生が大好きな平成生まれが語る

おはようございます

毎晩、悪夢と中途覚醒が続くので眠るのを諦めました。

夢遊病まで出てきて乙女心がガラガラと壊れて困っています

今回は大好きな小津安二郎先生の映画について語ります


※ネタバレ注意

私と小津安二郎先生の出会いは18歳の時

父親が珍しく家族を映画に誘ったのですが、みんな反応がイマイチ

しかし、名画の女優さんが綺麗で大好きだった私は、父親に誘われて二つ返事で名画座に着いて行きました


そこで初めて見た小津安二郎先生の映画「晩春」に感動して、これ以上の映画には二度と出会えないと確信したのです。

何故なら、大泣きしたからです。産声を上げて泣いた時以来の号泣ぷりでした。

お嫁に行く娘さんを見送るお父さんとのハートフルストーリーなのですが、当時結婚について深く考えたことが無かった私はそこで初めてお嫁に行く娘を見送る父親の寂しさと娘の寂しさについて考えさせられました。
そんな視点で描かれた作品があることにも衝撃でした。

隣にいる父親のことを想いながら胸が苦しくなったことが忘れられません。

娘ののりこさん(原節子様)は母親に先立たれた父親を支え、二人暮らしを楽しんでいました

お見合い結婚が主流だった当時は、美しいのりこさんはお見合いの話をよく持ち出されるのです

しかし、お父さんと暮らしているこの生活が楽しいからといつも断るのです

お父さんもそんな生活に勿論幸せを感じていましたが、娘の将来を思い、再婚をすると嘘をついて娘さんを安心させてお嫁に出します。

嫁入り前最後の京都旅行のシーンは、、うぅ書いていて胸が詰まりますね。

結婚に不安を抱く、のりこさんにお父さんは最初からうまくいく夫婦はいない。夫婦という新しい家族が誕生するのだ。お父さんが結婚したての頃、お母さんは台所で涙を流していた時もあったと説くのですが、

のりこさんは再婚相手ができたことにジェラシーを抱いたままで、お父さんも寂しいまま終焉に向かうのですね

お父さんが一人きりになった家の虚無感は小津安二郎先生の作品に欠かせないシーンなのですが、虚無、失われた時、孤独、静かさの漂う情景が本当に胸を苦しめます


娘を嫁に出す時、父娘では結局完璧に納得してお嫁に行くことはできないんじゃないかなと思います。


どんな状況であれ、愛情を注いだ娘が他の男性の恋人として、母親として、去っていくのですから、そもそも結婚という制度に満足できる父親なんているものですか。


そして、娘も父親を離れ、1人の女性として旅立つことに後ろめたさを少しも感じずにお嫁に行くことも難しいんじゃないかなぁ、、、

もう本当あくまでここまで私の感覚で語っていますが、父娘では恋愛関係ではないですが、それに近い感情があると思っていて、

父親を尊敬したり懸念したり最初に男性像を学ぶのが父親であり、父親は理想の女性として娘を育て上げていくわけですから

でも、二人は絶対に恋人関係にはならないから結婚はできないのですよ


その常識や遺伝子的な識別によって、結局、娘の結婚は完璧に気持ちよく送り出せるものではないのでしょう

「女の子はつまらんよ」とお父さん(笠智衆様)のセリフがありました。せっかく育ててもお嫁に行ってしまうからという旨のセリフでした。

でも、男親の家庭の結婚観ってどうなんでしょう。めんどくさいので考えません。


小津安二郎先生の映画はたくさん見ました。Amazonプライムで+松竹に加入もしましたが、やはりスクリーンでも見たいのでこまめにチェックして、上映されるとなれば即足を運びます


父との恒例行事ですね。小津映画が好きなものが近くにお互いしかいないので、上映すると決まれば、行こう!となって必ず見に行きます


父の都合が悪い時は一人でこっそり足を運んで、ホクホクした気持ちで帰ると「なんかあったの?」と即母親にバレました

小津安二郎先生の映画だけは心に入りすぎてしまう。

何度見ても、サイレントでも、コメディ以外は見ると必ず泣いてしまいます


ちょっと、秋刀魚の味とか小早川家の秋とか東京暮色とか好きな作品がありすぎてまとまらない


絞って、「東京暮色」の話をしましょう

大好きな有馬稲子様と大好きな田浦正巳様が主演を務めています

これまた、小津安二郎先生の作品の中でもかなりダークで、コメディ要素も入っているのだけれど、年頃の私が初めて見た時はキツかった

二枚目のフラフラした男の人に惹かれて、孕ってしまうのですが、相談するにも逃げ続けられてなかなか相談できない

結局一人で堕すことを決めて

どんどんとねこちゃん(有馬稲子さんのことこう呼んでいます)がやさぐれてしまい

定職に就かず、母親に捨てられたことも判明して心が追い詰められて踏切に飛び込んで亡くなってしまうのです


小津安二郎先生は人生の中のほんの一部分にスポットを当てて描くのが凄い。長期間の起承転結の映画はかなり多いですよね。


あまりにもピンスポットだから、嗚呼、こうやって悪いことが重なる時期って本当に苦しいよねと共感ができてしまう

もっと、大雑把に生きたらもっと楽になれるのに、なんて思っても一度落ちた心が、更なる悲劇で立ち直れなくなる。彼女の繊細さと若さが救いようのない結末を迎えてしまった。

でも、身内はやさぐれでのらりくらりしていたねこちゃんのことを愛していたから、そんな終わりかたに深く悲しむのです。家族のやり切れない気持ちも拾われていて嗚呼嗚呼、ダメダメ書いていて辛いです。


感情移入しやすい方は心が元気な時に見てくださいね。



生活の一部分を切り取ったというには浅はかな表現ですね。生活の一部分をしっかりと捉えているから、最初から最後まで緊張感があるのです。

生活だから何も起きなかったり、何が起きるかわからなかったり、映画じゃ収めなくてもいいかなっていう些細なトラブルや心の移り変わりもしっかりとおさめるから

全ての作品が人間味が強い


そして、フィルムセンターで展示も観に行ったのですが、よく評価されている計算され尽くされた構図の美しさもわかりました


でも、どうしても様式美よりも人情の部分に目がいってしまう


今の私の情緒じゃうまくまとめられないです。すみません….小津安二郎先生の良さをお伝えしたかったのですが


鎌倉然り聖地巡りもしたので、それは後日書きますね
小津ごっこして写真もたくさん撮りました


それでは


そういえば、田中絹代様ブームが到来したこともありました

2024.4.4



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