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Book to the Future

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

先日、東京読書倶楽部の読書会に参加された方で、SFについて熱く語る人にお会いした。

その方は、最近ご自宅に「aibo」をお迎えしたそうで、仕草や表情が愛くるしさから、家族の一員同然と考えている。

ただ、カズオ・イシグロさんの「クララとお日さま」早川書房のようなロボット目線の物語を読むでからは、果たして「aibo」は私達を、世界をどのように見ているのだろうかと考えたのだと語る。

そんな話からインスパイアを受けて、会社の図書スペースにあった冬木糸一さんの「SF超入門」ダイヤモンド社を紐解いた次第。

仮想世界や宇宙開発といった「テクノロジー」分野、地震や感染症などの「災害」、管理社会や地球外生命体による「人間社会の末路」を描く物語など、56作品のあらすじと注目ポイントを紹介している。

著者曰く、SF(サイエンス・フィクション)は、未来予測をする道具「ではない」が、来たるべき未来に対して備える手段にはなるかも知れないと言う。

「現代よりも先の世界」を積極的に描き出し、問いを次々と先取りしていかなければ、議論が間に合わない時代なのである。「現実化する前に」、変化に対して備えなければならない。そこで必要とされるのが、SFなのだ。

同著 9-10頁より抜粋

あくまでも未来の if ではあったかもしれないが、数々の作家が未来予測したかのような物語を描いてきたのは事実。

ニール・スティーブンスンの「スノウ・クラッシュ」のように、仮想空間やメタバースは広がりを続け、徐々に現実世界との境目が曖昧になっている。

先月、南海トラフ地震の臨時情報が流れ、いつ小松左京の「日本沈没」高嶋哲夫の「富士山噴火」が現実化してもおかしくない。

もしかしたら、柞刈湯葉の「横浜駅SF」のように、横浜駅が自己増殖する可能性だって…いや、流石にないか。

いずれにせよ、SF作品を通じて、「では私達に何ができるか?」「今何に備えることができるか?」を考えるきっかけにもなる。

そして大抵のSF作品に登場する人類は、(良くも悪くも)図太く生き残る。

劉慈欣の「三体」のように、地球外生命体が攻めてきたら、世界人類が一丸となり、呉越同舟ながらも共闘することとなる。

伊藤瑞彦の「赤いオーロラの街で」の如く、太陽フレアによって10年以上の停電が起きたとしても、自治体や市民の力により社会インフラは徐々に回復していくかもしれない。

若い科学者やエンジニア、あるいは企業全体がインスピレーションを得て、それを実現したいと思うようなストーリーが生まれることがあります。ですから、SF作家がエンターテイナー以外で役に立つとすれば、それはそこにあるのです。

同著 145頁 ニール・スティーヴンスンの言葉を抜粋

事実、テクノロジーやAIの発展が人類を滅ぼすSF作品があるからこそ、そんなことはさせないと立ち向かう人々もいる。

LOVOT 開発者 林 要さんの「温かいテクノロジー みらいみらいのはなし」ライツ社で思い描く世界のように、人類とAIの対立は古典になる未来も来るかも知れない。

あくまでもフィクションだとしても、そこには無限の力があるだ。


私自身、ジョージ・オーウェルの「1984年」やマーガレット・アトウッドの「侍女の物語」、カズオ・イシグロの「私を離さないで」など、一応メジャーどころは抑えてはいるものの、まだまだ未読ばかりである。

SF作品から来たるべき未来を思い浮かべるのも大事だが、やはりそれだけ考えさせられる、面白い作品を読みたい気持ちもある。

冬木さんも最後に語っているが、「全ては『楽しい』という気持ちから始まる」のだ。

本当、ハマっちゃうと抜け出せなるのよね。SFはヘビーだからね。それではまた次回!

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