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読書記録「夏の庭」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、湯本香樹実さんの「夏の庭」新潮社 (1992)です!
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・あらすじ
小学六年生の"ぼく"ら3人は、夏の間、近所の老人の家に張り込み「観察」をしていた。
ことの発端は、友達の山下のおばあちゃんが亡くなり、葬式のため学校を休んでいた。はじめて"死んだ人"を見た山下、ただ眠っているように見えて、だが今後目覚めることのない顔が恐ろしかった。
その話を聞きぼくは死ぬこととはなんのか考え始める。人はかならず死ぬとわかっているのに、どうしてこんなにも怖いのだろう、暗闇やおばけが怖いのだろう…。
友達の河辺が突然"死んだ人"を見てやろうと言い出す。近所に今にも死にそうなじいさんがいるから、毎日見に行って死に顔を見てみようと。
毎日テレビばかり見ていて、食事といえばコンビニ弁当ばかり、不健康な生活をしていたおじいさんだったが、子どもたちと出会うことにより徐々に元活力を取り戻してく。
最初こそ好奇心で関わり合う3人も、おじいさんと親しくなるうちに成長していく。少年時代の不安と心の成長を描く物語。
最近ミステリーばかりで心が暗くなってしまっていた次第。最近は心の琴線に触れるような、優しい作品を読んでいる。
以前読書回想録と称して井上ひさしさんの「握手」について書いた。中学の教科書にあった死生観を覚えた作品であったと。
私の母方の祖父が亡くなったのは小学校の頃である。それがはじめて死んだ人を見た時だったかは定かではないが、書いているうちに少しづつ思い出す。
学校終わり、母方の実家に行くのだと言われたが、着いたのは病院であった。
おじいちゃんが眠っている。みんな泣いている。
多分ただ事ではないのだなと思った。
出棺前におばあちゃんが何か缶の飲み物を入れていた。「また飲めるね」と涙を流しながら話しかけていたことは覚えている。
火葬場でこの骨が残っているのは珍しいですよと葬儀屋さんが語っていた。
お墓に行って、ようやくもう会えないんだなと思った。
子供の頃を振り返って思ったのは、怖いという気持ちよりも、感謝の気持ちだった。
前を向いて生きているよ、一生懸命頑張っているよ、また会う日まで頑張るよと。
そうやって成長してきたんだなと、色々な人のおかげで今があるのだなと、おぼろげながら考えた作品でした。それではまた次回!
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