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人生を変える1冊の見つけ方

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

読書会に参加すると、「この本を読んで人生が変わった」と朗らかに語る方にお会いすることがある。

それが自己啓発系の本やビジネス書を紹介する人もいれば、文学やエッセイ、絵本を読んで「人生が変わった」と語る人もいる。

以前お会いした人だと、失恋したばかりの頃に綿矢りささんの「勝手にふるえてろ」を読んで、恋愛を含めて人生に大きく影響を与えたと語っていた。

バイク好きの友人が入院した際に、父親から太田哲也さんの「クラッシュ 絶望を希望に変える瞬間」を貸してもらい、父がどれほど自分を心配していたかようやく気づいたと語っていた。

将来について悩んでいる時に、松浦弥太郎さんの「ほんとうの味方のつくりかた」を紐解いて、周りの人たちが考える「普通」から外れても良いんだって気づいたという。

そのように、「人生を変える1冊」に出会うことは、非常に稀なことだと思われる。

彼(彼女)らのように、その本を読んだタイミングが良かったという要因もある。

おそらく、別のタイミングで読んだら、素通りしてしまったかもしれない。

とは言え、私たちは常に失恋や入院の状況下にあるわけではない。

将来への不安なども、人によって悩む程度があるだろう(直視していないだけかもしれないが)。

それでも「人生を変える1冊」に出会いたいのならば、どうすればいいのだろうか。

話は少し逸れる。以前とある選書家の講演を拝聴した際に、「選書家として本をおすすめする前に、何千冊もの本を読む必要はない」と語っていた。

なぜならその人にとって、「(仮に)10冊しか紹介する本がないにしても、その1冊1冊に対して、意味や価値を自ら見出しているから」と語っていた。

読書会で紹介する本は、少なくとも「人に紹介したいほど面白い本」であることを前提に、本を持参しているはず。

その「面白い本」という基準は、その人の人生経験がその本を面白くさせたのであって、決してその本自体が、万人に対して面白いというわけではない。

だからこそ、就職や恋愛、喪失などの人生経験というタイミングは、読書において重要なものではある。

でも、こうも考えられないだろうか。その最中にいた過去の自分に対して、この本を紹介したいとも。

その時はタイミングが悪く、この本に出会うことはなかった。だけど、きっとその時に読んでいたら、間違いなく自分の人生を変えていただろうと。

それに一体何の意味があるのか(だって過去の自分に本をプレゼントすることはできないのだから)。

少なくとも、そう思えるだけの意味や価値が、この本にはあるのだと見出すことができたと言える。

過去の自分を思い出すほど、この本が深く印象に刺さったのならば、今この時点で深刻な事態に陥ることなく、いつだって「人生を変える1冊」を見つけることはできる。

つまるところ、意味や価値を与えるのは、「私」しかいないのだから。

同じ本を読んでも、面白いと思える人もいれば、つまらないと考える人もいるように、その本の価値はその人が決めることである。

そしてその面白い、感動した、あるいはつまらないという感情を深堀りしていくことで、その根源に近づくことができるかもしれない。

この本は一体、自分にとってどんな意味をもたらしたんだろうと。

もっとも、これから読む(あるいは読んだ)全ての本に対して、「人生を変える」ようなものを見出す必要はないだろう。それは疲れちゃうからね。

それに、例え「人生を変える」ような事柄が見い出せなかったとしても、その時間が無意味になったわけではない。

それに、「人生を変える」ってのは、転職や起業とか、大層なことをしでかす必要もない。

少なくとも、1冊を読み終えた時点で、自分では気づいていない「変わっていること」が、きっとあるのだから。

そういう時は、あとからその本の意味を見出せば良い。

そういうことができるのからこそ、読書って面白いのよね。それではまた次回!

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