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読書記録「クリスマス・キャロル」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、ディケンズ 越前敏弥訳「クリスマス・キャロル」KADOKAWA (2022) です!

ディケンズ「クリスマス・キャロル」KADOKAWA

・あらすじ
今日は12月24日。そう、クリスマスイブだ。

子どもからお年寄りまで、この聖なる一日を祝い、楽しみ、幸せを謳歌するに違いない。

だがこの老人は違った。エベニーザー・スクルージ。ロンドンで商売を営んでいる。

スクルージは、自他ともに認める冷酷で無慈悲な老人だった。強欲で、秘密主義。おまけに吝嗇家でもあった。

そんなクリスマスイブの夜。スクルージはかつての共同経営者であるジェイコブ・マーリーと出会う。

突然の再会に、スクルージは顔色を変える。なぜなら、ジェイコブは7年前に他界していたからだ。

ジェイコブが言うに、これからスクルージには3人の精霊に出会うのだという。

1人目は「過去のクリスマスの精霊」、2人目は「現在のクリスマスの精霊」。そして3人目は、「未来のクリスマスの精霊」。

3人の精霊に連れまわされて、スクルージは自らの過ちに気づくことになる。

あんなふうにへそを曲げて、苦しむのはだれだ? いつだって自分自身じゃないか。

同著 102頁より抜粋

学生時代、ディズニーがリメイクで映画を上映していた頃に、書店で手に取った作品。

カバーも映画仕様であったが、本棚を整理した際に手放していた。

今になって、「季節感を感じられる作品を読みたい」欲と、クリスマスが近づいたので、久方ぶりに紐解いた次第。

以前読んだときから、オチは覚えていた。「未来」のクリスマスの精霊が現れて、スクルージに悲惨な結末を見せつける、と。

だけど、「過去」や「現在」のシーンは、結構忘れていたところも多い。

きっと当時は、「今も充分クリスマスを楽しんでいる」気持ちだったし、昔を懐かしむという感覚が、あまりなかったからだろう。


まだ我が家にサンタさんが来ていた頃、クリスマスはなんと素晴らしい日だったか。

美味しいご飯が食べられて、ケーキも食べられる。しかもサンタさんからプレゼントも貰えるのだ。

一度、サンタさんに「お手紙をください」を書いたことがある。まだ存在自体を疑ったことがない頃だ。

翌日、目が覚めると、プレゼントとともに、お手紙の返事を残していったのだ。もちろん、英語で。

そりゃ私もお兄ちゃんも大はしゃぎよ。冷蔵庫にしばらくお手紙を貼ったままだった。

一体、父さんと母さんは、どんな魔法をしたのやら。

あの人がみんなに与えてくれる幸せには、ひと財産ほどもの価値がある

同著 63頁より抜粋

いやはや、そんなクリスマスも、いまでは遠い過去の思い出である。


この物語の好きなところは、結末が絶対的な未来ではないこと。

過去・現在・未来のクリスマスを見ていき、スクルージは自らの行動を顧みて、まるで人が変わったかのように振る舞う。

もちろん、生きとし生けるもの、いずれは永遠の旅に出る。それは避けられぬ運命だ。

だけど、今際の際になったとき、「ありがとう」と言われるか、「やれやれ、ようやくくたばった」と言われるか。

その差はあまりにも大きい。

人の進む道の先には、なんらかの結末がある。ふるまいを改めなければ、かならずそこへ行き着く。……でも、その行路をはずれて、ちがう道を進んだら、結末も変わるはずだ。

同著 138頁より抜粋

今日はクリスマスイブ。誰もが幸せを分かち合うような日になりますように。

Merry Christmas!

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川口 竜也 / 川口市出身の自称読書家
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