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11月30日 読書会報告
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
2024年11月30日の午後に開催した「東京読書倶楽部」読書会の報告です!
この日は新規の方が5名、リピーターが5名の合計11名でお酒を飲みながら読書会、その名もBOOK & BOOZE!
本を読む理由も価値観も人それぞれ。どんな本を読んでいようと、豊かさを求めていることに大きな違いはないのかもしれない。
紹介して頂いた本
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横溝正史「悪霊島」KADOKAWA
金田一耕助の事件簿シリーズ。とある島で起きた殺人事件。息絶えた男は「この島には悪霊が取り憑いている」と言い残して。
ちなみに皆さんは横溝正史を読んだことがあるだろうか?
金田一耕助のことを「犯行を未然に防げないダメ探偵」という人もいるが、果たして凡人にこのトリックが見破れるのだろうか?
むしろ、トリックを知らないでミステリーに挑めるのは、とても幸せなことである。答え合わせの前に、自分で犯人を特定する時間を設けてみては。
11月は横溝正史月間だった紹介者。「犬神家の一族」などもおすすめだが、より人間の業を描く、気持ち悪いとも言える作品を望むならおすすめです。
キム・チョヨプ「わたしたちが光の速さで進めないなら」早川書房
紹介者曰く、小説というものは、物語を通じて著者の思想や意見を伝えるものだと考えている。
この作品は、人間関係やコミュニケーションというものを、異星人との出会いと交流を通じて表現している。
言語や価値観が違う人とどう付き合っていくか。人間性や利他の精神というものを、異星人の視点で見たらどう感じるか。普段想起される感情というものを、言語化するとどうなるだろうか。
知らない者同士、それが異星人だった的なSF短編集。表紙の優しいイラストがなんとも目を引く素敵な作品です。
オルダス・ハクスリー「すばらしい新世界」早川書房
人間が瓶の中で生まれる世界では、人間の個体差は工場の設定で決められていた。
家族や家庭というものが、大人と男と女、複数人の子どもで構成されることが、当たり前になった。
そんな新世界に対して疑問を投げかける主人公。彼は野人保護区という、旧世界の常識を持つ人々が集まる場所を訪れ、カルチャーショックを受ける。
すばらしい新世界で生きることに違和を感じ、近未来から現代に逆行していく。果たして主人公たちはどう選択するか。
紹介者曰く、「1984年」などのSFディストピア小説の中でも、非常に読みやすい作品だったとのこと。ピュアピュアです。
乙一「一ノ瀬ユウナが浮いている」集英社
大雨の日、一ノ瀬ユウナは用水路に落ちて亡くなった。小中高と幼馴染で、好意を寄せていた彼女が、突然亡くなった。僕は彼女に想いを伝えることができなかった。
ある日、机の中に彼女が好きな線香花火を見つける。火をつけてみると、なんと彼女が宙に浮いて現れたのだ。
もしかしたら自分の妄想かもしれない。それでも、線香花火をつけている時間だけは彼女に会える。
しかし、彼女が現れるのは、彼女が好きな線香花火だけ。だから僕は駆け出した。そんな淡く切ない物語。
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友田とん「『百年の孤独』を代わりに読む」早川書房
昨今、文庫化あたり巷で噂のガルシア・マルケスの「百年の孤独」。その本を読んだうえで、「代わりに読む」というワードに惹かれて紐解いた次第。
物語を読むにあたって、「ある人が読んだらこう思う」というのが、読者の数だけ存在する。1節だけで自分の人生を振り返るような「脱線」があって、それが面白い。
話は変わるが、会社の同僚から「(小説とか)意味のない本を読むことに、何の価値があるの?」と聞かれ、答えに窮したという紹介者。
今ならいくつか挙げられるけれども、「次の本を面白く読むために、本を読む」という解釈もあるなと考えたそうで。
(ちなみに、小説を意味ないと言った同僚に対しては、「なんてやつだ、生かしておけぬ」が読書会での総意です)。
巖谷國士「シュルレアリスムとは何か」メタローグ
先程の紹介にも通じる話であるが、社会の役割や枠組み、意味に縛られて生きる人間はなんとも阿呆に見える。
会社や人間関係の中で、自分の役割を演じて生きていけるのが大人なのかもしれない。でもそれって、本当の自分を生きているだろうか?
そこでシュルレアリスムである。シュールと言うと、現実離れという印象があるが、実際は現実とシームレスであり、いわば現実を超えた現実である。
例えば、サルバドール・ダリの「記憶の固執」では、溶けたような時計が描かれている。これは時計を「時間を知らせる」枠組みを取っ払い、時計そのものを見ているのだ。
そのように世界を見ることは可能であり、意味や枠組みにがんじがらめになっても、常に意味の世界で生きているわけではないと気づくべし。
藤原正彦「国家の品格」新潮社
これは紹介者が社畜だった頃(本人がそう述べている)気づいたこと。事実と意見が衝突したら、必ず意見が勝ってしまう。
まぁでも日本人というものは、無駄なことが好きな民族。古来より義理人情で成り立っていたのだから、西洋の資本主義・効率主義に適合しないのは致し方がないこと。
この本の著者は、そんな日本人の倫理観や精神をピックアップし、逆に自由の国に対しては批判的な視点でぶった切る。
今では会社を辞めて独立したから分かる。そのような精神を受け継いでいけば、仮に会社が衰退しても、個人は生き残れると。
有川浩「キケン」新潮社
機械制御研究部(通称:キケン)に嫌々入部することになった主人公。大学工学部の学生たちのコミカルで「無意味上等」な物語。
有川浩と言えば甘々な恋愛作品が多いが、本作は恋愛要素はほぼなし(推しのアイドルと2次元のみ)。登場人物全員が憎めないのもまた一興。
それでも、ロボットや機械制御などの分野では一切の妥協はしない。大人になっても、そういう関係性を築いていきたい。
パム・グラウト 「THE GRATEFULNESS」サンマーク出版
一言で言うならば、とにかく願えば叶うのです。意識や思考を変えれば、奇跡は起こるのです。
ナポレオン・ヒルが「思考は現実化する」と語ったように、成功する状態を思い浮かべることで、そこを目指すような行動ができる。
大きなテーマは「感謝をする人が、成功する」。前向きな考え方であれば、人生はどんどん好転してくのです。
三島由紀夫「鏡子の家」新潮社
ボクシング選手、日本画家、俳優、貿易会社のエリート。それぞれの「美」を追求する男4人は、資本家の令嬢である鏡子さんの家で過ごす。
1950年代という戦後とも言えない時代。三島由紀夫が「美」について語る作品として、大学時代に研究したという紹介者。
「美」というものは、芸術のような真の美、観念的な美だけではなく、社会と自分との関わりといった実存的な美もある。
例えるならば、こう生きたい、こうありたいと望む姿を美しいと思えるような……。
12月の読書会スケジュール
12月14日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会
12月21日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK & BOOZE!
今年も残すことわずかとなりました。ご興味ありましたら、コメントや各種告知ページにて是非お待ちしております!
皆様とお話できるのを心よりお待ちしております(*^^*)
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