読書記録「インストール」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、綿矢りささんの「インストール」河出書房 (2005)です!
・あらすじ
まだパソコンが大きな箱であった頃の話。主人公は朝子は受験を控えた女子高生、皆が受験勉強に勤しむ中、親友の一言で登校拒否児になる。部屋のものを全て捨て、壊れたと思ったパソコンも手放そうとしたとき、突如としてゴミ捨て場に現れた男子小学生に譲る。親しくなった二人は、ネットで知り合った水商売の雅の頼みで、アダルトチャットの代理アルバイトを引き受ける…。
母親や両親に内緒で”大人の世界”に踏み入れる二人。学校と違って無理に周りに合わせるわけでも周りの目を気にしなくてもいい。
一方で、チャットを通じて生身の人間が画面の向こう側には存在するのだと感じ、どこまで行っても人とともに生きていくことを覚える。
『ネットの世界は怖いものだ、だから子供にはなるべく触れさせないほうがいい』。多分時代背景としてはそんな考え方が一般的であっただろう。
感覚的には、FLASHとかが流行っていた頃かもしれない。思えば、ああいうところから、大人の世界に入り込んだ記憶がある。親の目を盗んで、深夜にパソコンを立ち上げた頃が懐かしい。
もちろん、今は危険はないとは言い切れないが、少なくとも昔に比べたらセーフサーチはしっかりしているし、そもそもそういうサイトには入れないようになっている。最近は幼稚園の頃からスマホを持っている子がいてもなんら不思議ではない。
どちらがいいとか、そういう話ではないが、少なくとも大人が思っている以上に、子供は”大人の世界”に詳しくなっていく。河原のビニ本を拾うことなく(笑)、自ら足を踏み入れていく。
そして、どこまで行っても人々の営みで世界は成り立っていることを知る。家族という小さい単位から、学校、地域、国…と。
そんな子供の頃の、淡い気持ちを思い起こす作品でした。
…なんか自分の恥ずかしい過去を晒すだけになった気がする(笑)。それではまた次回!