【これ1冊でOK?】おすすめしたい文章術の入門書
「プロのライターでしょ? 文章の書き方が手軽に学べる本を教えてよ」
職業柄、こう言われることがあります。
この問いに対する現時点の答えは、以下の通りです。
とりあえず『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』を読んでみては?
なぜそう答えるのか。以下、その理由を説明します。
■ 文章術の本は多すぎる
まず、結論から言います。
先ほど紹介した本には、文章の書き方に関する基礎的なノウハウが詰まっています。書名の通り、文章術を語った本のうち、ベストセラーと呼ばれるものを100冊選び、それらのエッセンスを1冊に凝縮したものだからです。
このため、本書を読めば、文章術の基礎を短期間で身につけることができます。
ところが、本書が世に出るまでは、このような要約をした本がほとんどありませんでした。
それゆえ、文章術を学ぶには、それに関する複数の本を読む必要がありました。
文章術を述べた本は多数あります。たとえばAmazonで扱われている「本」を「文章術」というキーワードで検索すると、209件ヒットします(2024年10月7日時点)。
これだけ多いと、自分の目的に合った本を見つけ出すのは難しいです。
それゆえ私は、かつて他人におすすめする本を1冊に絞りこめませんでした。理由は単純。候補が多すぎたからです。
私はこれまで「文章術」に関する多くの本を読んできました。とくに20年前に独立してフリーランスのライターになってからは、書店で「文章術」の本を買い集め、読みあさってきました。
私の仕事場の書棚には、「文章術」の本が多数並んでいます。下の写真は、そのうちの一部で、すべて新書です。全体的に「理系向け」に偏っているのは、私が元技術者で、現在は技術を一般向けに紹介する仕事をしているからです。
このため、相手が理系の方であれば、「とりあえずパラグラフ・ライティングを勉強してみては?」などと具体的にお伝えすることができます。ただし、それ以外の方におすすめしたいと思える本は、これまでなかなかありませんでした。
■ 名著100冊の本の内容をまとめた1冊
現在は、文章術に関する複数の本の内容を要約した本が存在します。その一つが、冒頭で紹介した『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP 2021年発行)です。
本書は、編集プロダクション出身の藤吉豊さんと小川真里子さんの共著です。本書の調査の対象になった100冊には、私が参考にしてきた本が複数含まれています。
本書の構成はシンプルです。冒頭で「文章の書き方」に関する事柄を、大事な順を1位から40位まで載せ、本文でそれぞれをくわしく説明しています。
この1〜40位にランクインした事柄には、文章を書くために最低限知っておきたいことが詰まっています。「とりあえず文章の書き方を知りたい」という方にはピッタリの内容でしょう。
■ さらに勉強したい人へ
記事のタイトルでは、【これ1冊でOK?】と書きましたが、本来文章術は1冊の本だけではとても語りきれません。
このため、本書を読んだ方には、追加で目的に合った文章術の本を読むことをおすすめします。なぜならば、文章の書き方は、目的に応じて変わるからです。
文章は、おもに次の2つに大別されます。
(1)味わう文章
(2)説明する文章
(1)の代表例は、小説やエッセイです。私はこれらの専門家ではないので、くわしい説明は割愛します。
(2)の代表例は、学術論文や記事、ビジネス文書です。これについては大きなニーズがあるため、さまざまな入門書が存在します。先述したパラグラフ・ライティングの本はその一例です。
みなさんが書こうと思っている文章は、どちらでしょうか? 書く目的は何でしょうか?
それらを意識すると、これから習得すべき文章術を絞りこむことができます。
■ おわりに
最後に、この記事でお伝えしたかったことをまとめて終わります。
文章の書き方を基礎から学びたい方は、まず『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』を読んでみてください。
そして、自分がどのような文章を書こうとしているかを考えてみてください。先ほど挙げた(1)と(2)のどちらであるかが明らかになればOKです。
書く目的が明確になれば、自分にとってのゴールが見えてきます。あとは、それに向かうのに適した手段(入門書)を選び、自分の文章力を磨けば、短期間でゴールにたどり着くことができるでしょう。
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