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あの男と過ごした幾多の夏の思い出

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或る男と女が一緒に過ごした長い年月の中で、幾度と繰り返された夏。短い夏が始まり、追いかける間も無く終わってゆく。素晴らしい思い出も忘れたい想いも、また新たな夏を迎えるごとに少しず…
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#短文

幸福を探す女

ロードスターに乗る男は最後の話合いに応じることもなく、私からの電話には結局最初から最後まで出ることもなかった。私の20代最後の夏の恋愛は気温が下がるごとに冷めていき、夏の記憶として速やかにフェードアウトしていった。幸せを探す旅は続く。30歳最初の夏に期待を込めて。

あの男と過ごした幾多の夏の思い出

あの男と過ごした幾多の夏の思い出

記憶或る男と過ごした幾多の夏は
女の頭の中からすぐ消えることはない

上書きされることもなく
また恋愛を繰り返しても
新たな思い出は
ただ記憶のストレージを使い
男の存在を忘却する手立てにはならない

目を閉じれば浮かぶ
夏の温度の下がった夕空は
藍、橙、朱、薄黄色が混ざり美しい

今や遠く離れた男と女の永遠は
最初の夏から有り得なかった
否、保身や偽装が潰してしまったのか
今となれば知る手立ても

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