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「メンバーの声を形にする」カタリバのオフィス移転ワークショップの全貌
こんにちは。広報部のあべあいりです。
子どもの居場所づくりや学び支援を行う認定NPO法人カタリバは、13年間過ごした東京・高円寺から、東京・中野にオフィスを移すことになり、移転準備を機に組織のカルチャーを再編するプロジェクト「カルチャー編集室」が立ち上がりました。
カルチャー編集室が目指すのは、メンバー一人ひとりが「主体性」を持ち自らの意思で行動できる組織文化の再構築で、「オフィス移転」というプロジェクトをトップダウンではなくボトムアップで進める試みに挑戦しています。連載「カルチャー編集室だより」では、オフィス移転プロジェクトの様子をお届けしています。
今回は、オフィス移転プロジェクトの初期に行った「社員の意見を募るワークショップ」の様子を紹介します。
新オフィスへの意見をワークショップで集めることにした理由
「オフィス移転」は、組織全体に影響する大きなプロジェクトです。そのようなプロジェクトにおいて、メンバー全員が新しいオフィス環境づくりに主体的に関与し、自分たちの意見が反映されていると感じられることがボトムアップの組織文化をつくっていくうえで重要だとカタリバでは考えました。
また新しいオフィス設計は、物理的な環境以上に組織の価値観や文化を反映する場でもあります。
新オフィスに対するメンバーの意見の集め方は様々あるかと思いますが、アンケートだけで意見を集めるのではなく、対話を通じてメンバー一人ひとりが感じている「ここは維持したい」「ここを改善したい」という率直な意見を引き出したいと考え、ワークショップを行うことにしました。
オフィス移転に向けた「ユニークボイス週間」
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この意見収集のワークショップを「ユニークボイス週間」と名付け、移転への機運を高めていくため1週間連続でワークショップを開催しました。
ここからは、実際に行ったワークショップの詳細を3ステップに分けてお伝えします。
ステップ1:新オフィスにも引き継ぎたいこと、改善したいことの可視化
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まず参加者に、付箋を配布し、暖色の付箋には「今のオフィスの好きなところや、次のオフィスでも残したいところ」を、寒色の付箋には「今のオフィスのあまり好きではないところポイントや、改善したいところ」を記入してもらいました。
その後、オフィス内の各場所に記入した付箋を貼って視覚化しました。
ステップ2:グループで共有&アイデア出し
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4〜5人のグループをつくり、オフィス内を回りながら、ステップ1で貼った付箋の内容を共有します。
共有された考えに対して、「それ、私も思っていた!」「だったら、新しいオフィスにこんな場所があるといいよね」など他のメンバーからのアイデアや意見を追加していくことで、より良いアイデアをみんなでつくっていきます。またステップ3の準備として、各グループで記録係を立てて、議論の内容を記録してもらいました。
ステップ3:オフィスづくりで大切にしたい「概念」を見つける
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このワークショップで大切していたことは、改善点や要望を引き出すだけでなく、オフィスづくりで大切にしたい「概念」を見つけることです。
ステップ2の後は再び全体で集まり、各グループで議論した内容を踏まえて共通するポイントやカタリバとして大切にすべきと思われる観点をキーワードにまとめていきました。
ワークショップで得た成果
このワークショップを1週間通して実施した結果、多くの具体的なアイデアと概念が生まれました。
「交差点」「開放感と安心感」「ウェルカム文化」「対話・共創の身近さ」といったキーワードがメンバー間で共有され、これらが新オフィス設計のベースとなる重要な概念として抽出されました。
意見集約と図面への反映
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ワークショップに参加できなかったメンバーからの意見も募るため、ワークショップで使用したオフィスの図面を掲示して、自由に付箋を貼れる場を設けました。上の写真のように、たくさんの意見が集まりました。
メンバーの意見を集めたオフィスの図面(上の写真)は、ワークショップで出てきた意見や概念がまとまった議事録の代わりにもなり、これから進めていく新オフィスの検討において組織として大切にしたいことやメンバーからのニーズが明確になりました。
最終的に、ポストイットに書かれた意見と概念を整理した、以下のようなマップを作成しました。
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「ユニークボイス週間」を経て、その後は設計事務所を交えたオフィス設計に進みました。移転プロジェクトの透明性を保つため、「ユニークボイス週間で出てきた声の何が反映され、何を検討しているか」をリスト化しメンバーに進捗状況を共有しました。
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メンバーの反応と、ワークショップ運営を通しての学び
新オフィスに対するアイデアがなかなか出てこなかったメンバーも、ワークショップのなかで現在のオフィスを巡りながら考えることで意見やアイデアが自然に生まれ、新たな気づきを得ることができました。
その後設計事務所から出していただいた図面には、ワークショップで出てきた意見も反映されており多くのメンバーが「自分の意見が取り入れられている」という実感を得られたのではないかと思います。また、自分一人ではなく「みんなで作り上げた」という感覚が湧く機会にもなったのではないかと思っています。
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ワークショップ運営にあたって難しいと感じた点は、意見を集約し提案に落とし込むことです。カルチャー編集室を一人で運営していたため、壁打ちできる相手がおらず少し不安を感じていました。
ワークショップ運営は慣れてくれば問題なく運営できますが、やはり体力は必要です。定時の後、1〜2時間をかけてワークショップを実施していたため、慣れない仕事にユニークボイス週間中はオーバーワーク気味になりました。
とはいえ、このワークショップを経たことで、新オフィスは単なる物理的な場以上のものになりました。メンバーの声が反映された空間が生まれることは、ボトムアップの組織文化を強めていこうとするカタリバにおいて、一つの象徴になるのではないかと感じています。
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今回私たちが実施したワークショップは、オフィス移転をする組織に限らず、現状のオフィスをより良く改善していくための手段にもなるかもしれません。社員の意見を募るワークショップの作り方を検討されている方にとって、少しでも参考になっていたらうれしいです。
(追伸)
先日2024年10月1日に、ついに新オフィス移転の日を迎えました!
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カルチャー編集室だよりでは、引き続きオフィス移転プロジェクトの様子をお伝えしていきます!