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中高生が“自分らしくいられる”居場所。そこに込める想いとは

東京都文京区にある、中高生の秘密基地「b-lab」。私は現在大学4年生で、学生スタッフとして運営に携わっています。b-labでは中高生が日々ゲームやおしゃべりをしたり、ダンスやバンドの練習をしたり、勉強をしたり......自分らしい過ごし方をする光景が広がっています。

そんな自分らしさを表現できるb-labで立ち上げられている、b-labサークル(以下:サークル)。サークルは中高生同士が「好き」でつながる居場所であり、自分の「やってみたい」を表現できる機会でもあるコミュニティです。 

サークルという仕組みができてから2年が経ち、今では10を超えるコミュニティが立ち上がりました。そこで今回は最初のサークルとして立ち上がり、現在にかけて多くの出来事と変化が起こった”ダンスサークル"をご紹介します。 

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ダンスサークルは、スタッフがホールでダンスの練習をしている高校生に声をかけ、一緒にダンスイベントを企画したことがきっかけで発足しました。その後、イベントを通してつながった数人の中高生にも声をかけ、b-labで年3回開かれる文化祭「フェス」にサークルとして出演することになりました。

準備期間中は練習時間の確保や踊りたい曲の選定など、苦戦することも。それでも多くのスタッフや大学生のボランティア、そして今まで一緒にやってきた中高生同士で支え合い、無事に踊り終えることができました。

フェスに出演するダンスサークルの写真

その後、フェスでダンスサークルの活躍を見た多くの中高生から「私もダンスサークルに入りたい!」という声が上がるように。1人の高校生とスタッフの出会いから始まったサークルが、いつの間にか10人を超えるコミュニティへと成長しました。

さらにサークルとしての活動の場はb-labだけにとどまらず、小学校や地域に飛び出して発表したり、ダンス教室を実施したりすることも。自ら小学生に寄り添い、丁寧に振りを教える子もいれば、参加者と一緒に楽しくダンスをする子など、b-labに居るだけでは見えない中高生の意外な一面も見られるようになりました。 

中でも印象的だったのは、高校一年生のAさん。サークルでの出会いを通して積極性が増し「もっと自分の”やってみたいこと”を一からプロデュースしたい!」と思うように。一緒に踊りたいサークルメンバーに自ら声をかけ、ダンスを教え、フェスに出演するといった行動面での変化が見られました。 

ダンスサークルは今年も、フェス出演に向けて準備中。早いものでサークルとしての出演は6回目です。月日が経つにつれ、顔ぶれは少しずつ変わり、全体の雰囲気も年々変化があります。それでも、"自分らしく居られる空間"が広がっていることは変わりようのない事実なのだと日々のサークルを見て感じています。

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私はダンスサークルというコミュニティを通して、コミュニティとは「人の数だけあるもの」だと感じました。集まる場は一つでも、その場に楽しさを求める人、新たな出会いを期待している人、好きを極めたい人など、捉え方は中高生の数だけあります。

そんな中で自分のやってみたいことに挑戦したAさんの姿を見て、"与えられた環境だけではなく、その場での経験を通して自分自身で環境を選び取り、また作り出していく力"がこれから必要になっていくのではないかと改めて感じました。

中高生たちがb-labに居られる期間は長くても6年。その後は自分の足で立って進んでいかなければなりません。学校や家のように同じ人と毎日顔を合わせる必要がない場所だからこそ、たくさん挑戦し、ときには失敗し、様々な経験を自分自身に蓄えて成長していってほしいと思います。

そして、"好き"を通じて活動できるサークルが、中高生たちが成長する機会の一翼を担う存在であってほしいと願っています。

サークル練習後の集合写真

今回のコラム担当:熊澤 蒼介(くまざわ・そうすけ)/b-lab
大学在学中、授業でb-labと出会い、中高生の居場所支援に興味を持つ。ボランティアを経験した後、「中高生がより居心地の良いと感じる場を作りたい」と思い学生インターンとして活動継続。来年度、児童福祉系に就職予定。

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