小説【 dreamers 】9
英理の父、要が帰ったのは10時半。
帰りはいつもこのぐらいだった。もっと遅い日もある。恭子は風呂に入っていた。英理がダイニングに来ると父は夕飯を自分で温め食べている。着替えるのを面倒がっていつもワイシャツ姿のままだった。
英理はすでにパジャマで寝るところだったが、寝られそうにない。「おかえり」
「ああ、ただいま」
父は冷しゃぶを口に運ぶ。味わう感じはなくただ栄養補給の感じ。これもいつものことだった。見るたびに料理の作り甲斐がない相手、と思う。
「なんだ?」と要は英理