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小説【 dreamers 】4


英理は繁華街を引き返して母を探し、あるカフェの中に見つけた。窓に背を向けて座る母の正面には男がいた。父ではない知らない男。英理は通過し次の角まで来て止まった。どういうこと? だれ?

父の会社は街と海浜エリアのあいだにある。自動車関連のエンジニアだった。昼休みにこの街まで来てママとランチ――そんな空想をしたが違った。

どうしよう。

街角で誰かを待つふりで英理は考えた。どうする? どんな知り合い? なんでもないただの知り合いかもね。でもだったらなぜ内緒に? 今朝ウソをついた。心配をかけまいとしてかもしれない。ただの知り合いだし。でも説明すると長くなる。心配ないんだからわざわざ言わない。あるある。

LINEで今どこにいるか聞いてみようか。でも今朝と同じ嘘をつくかも。つかれても「ウソ」とは言えない。こっちがカマをかけたようになる。それに「ウソ」とツッコめばママを追いつめる。やめよう。

じゃあリアルに声をかけるのは? たまたま通りがかって見かけた。偶然を装って――それなら嘘はつかせない。でも今朝の嘘は指摘する。そして私の嘘もバレる。いやいや、そんなこと言ってる場合?

ママは驚くだろう。動揺するかも。さらにギコチなかったら? 相手について誤魔化す感じだったら――不倫とかそういうこと?

まさかね。ママがそんなことしない。普段のママを見たら想像つかない。

でも、今朝は嘘をついた。

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