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小説【 dreamers 】12
自信はなかった。それに、と英理は思う。もし全部がうまく行ったとしても、男が不倫をやめる気になったとしても、ママの方が会いたがったら?
そういう可能性だってなくはない。だから理想はママが諦めるように、同時に男に幻滅するような方法で――そんなの思いつかない。英理はため息をつく。だいたいふたりの関係を詳しく知らないんだから。聞けないし話さないはずだし、どんな方法がベストかなんてわからない。
とりあえずふたりを離すんでいいじゃない、と思う。それが先決じゃない。先のことは臨機応変、そのとき考えるんでよくない?
仲のいい3人に打ち明けたらどうか、と思う。クラスで仲がいい3人。思いもよらないアイデアが出てくるかも。
しかしいつもの軽口と世間話を見ると相談する気にはなれなかった。
「え、不倫てなに」「なにそれ。なんで英理が知ってんの」「不倫てキモイんですけど」
そんなリアクションが目に浮かぶ。
ノリがよくて遊び相手としては最高だけど、こういう時は頼りにならない。話せば3人以外の誰かにも言いそうだった。広まったら大変。軽く扱われたらママかわいそう。
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