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2024年8月の記事一覧

高性能な刀鑑賞用ライトについて

高性能な刀鑑賞用ライトについて

以前私の部屋について「日本刀ヲタクの部屋紹介」という記事を書いたのですが、そういえば部屋に取り付けている鑑賞用のライトについてまだ書いていなかったので書いておきます。

以下が部屋に取り付けているライトです。

LEDですが、光の色を2700~5000Kの範囲で変えたり、調光したり、照射位置をモーターで遠隔で動かしたり出来ます。
一度調整した設定を記憶させて切り替えることも出来るので、この刀用はこ

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悪質な偽刀の誕生までの一例

悪質な偽刀の誕生までの一例

あくまで一例ですが。
特別保存刀剣の付いた正真の虎徹の刀があったとします。
本物の虎徹なので購入するとしたら1000万円以上はします。
当然「銃砲刀剣類等登録証」も付いています。
さてここから2つの虎徹が生み出されます。

これで正真の虎徹の鑑定書と登録証の付いた偽刀が完成します。

しかし元の本物の虎徹の刀は鑑定書と登録証がなくなってしまいました。
そこで、

するとあら不思議、銘と寸法の同じ登

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日本刀の伝来を調べたい時に便利な「売立目録」の検索

日本刀の伝来を調べたい時に便利な「売立目録」の検索

所有刀の伝来を調べたい時の手段の1つとして売立目録を調べるという方法があります。
売立目録というのは大名家や著名コレクターの蒐集した美術品が売りに出された時のいわばカタログのようなもので、明治後期から昭和までに数多く開催され残っています。
2015年には東京文化財研究所がこの期間に発行された2532冊の売立目録をデジタル化する事業を開始し、2019年にはデジタルアーカイブとして完成したのは記憶に新

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第14回「刀屋さん見学会」開催します!(9/14 13:00~)

第14回「刀屋さん見学会」開催します!(9/14 13:00~)

2024/9/14に第14回「刀屋さん見学会」を開催します!
参加方法については④に書いてありますので、内容を理解されている方は④まで飛ばしてお読みください。

①刀屋さん見学会とは刀屋さんに行ってみたいけど1人では行く勇気がない方や、刀に興味があり正しい知識を付けたい方を対象に、少人数で刀屋さんを訪問し実際に店内の刀を手に持たせて頂きながら、鑑賞マナーや鑑賞方法、刀を見るポイントなどを教えて頂く

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なんでも鑑定団の郷の義弘の刀を巡って

なんでも鑑定団の郷の義弘の刀を巡って

リアルタイムでは見れていないのですが、なんでも鑑定団に出ていた郷義弘の刀が本物だったようです。

金額は以下から見れます。
オープン・ザ・プライス…!

しかしどうやら既に重要刀剣に指定済みの有名な刀だったようです。

「重要刀剣」というのは、日本美術刀剣保存協会(民間の信用度の高い鑑定機関)が本物と定めた上で更に出来が良い物にのみ指定されるものです。
つまり既に「正真」と分かった刀がなんでも鑑定

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鐔の現存する刀工

鐔の現存する刀工

室町時代頃の製作と考えられる古刀匠鐔などは元は刀匠が刀を1振り製作する度に簡易的な(装飾の無い)鐔も合わせて製作していたという説がある。
こうした室町期の鐔には銘が無い物が殆どであるが、桃山時代頃から鐔にも銘を入れるようになる。

代表的な所でいえば、金家、信家、埋忠明寿であるが、中でも埋忠明寿は刀の作も現存している事から、鐔も刀も現存しているという意味では一番古い刀匠であり金工であるとも言える。

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肥前国忠吉 鑑賞メモ

肥前国忠吉 鑑賞メモ

肥前国忠吉(初代)の初期作から晩年作まで3振と、陸奥守忠吉(3代)1振の重要や特重の名品を手に取り拝見させて頂いたのでメモ。(因みに画像の忠吉短刀は関係ありません。鑑定書ランクは書かなくても良いかと思いましたが名品と書くだけでは主観になり分かりづらいので分かりやすさの指標として書いておきます)

1振目はいわゆる秀岸銘時代の作で肥前国忠吉と五字銘の入った初期銘の作。
中切先でやや浅く反り南北朝頃の

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剣(粟田口)④ 拵のこと

剣(粟田口)④ 拵のこと

前回

今回はこの剣に付帯している拵について紹介しようと思います。
特段良い拵というわけではなくおまけ程度の拵には思うのですが意外に凝った面白い部分などもあります。

銀杏の目貫が付いています。
裏を見てみないと良く分かりませんが、単品で買うとしても5000~1万円位で手に入る目貫ではないでしょうか。
ただ拵に用いるデザインとしては上品さを感じます。

獅子や龍など動物の目貫は躍動感から武士の気概

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剣(粟田口)③ 鎺のこと

剣(粟田口)③ 鎺のこと

前回

今回はこの剣についた鎺を紹介しようと思います。
剣は上からみるとひし形になっている事もあり、鎺もひし形になっています。
面白いですよね。
個人的にはとても好きな形です。

剣のハバキは左右対称で取り付け向きが分かりづらいという欠点があります。よーく見ると僅かに違いがあるのでそれで見極めつつ、ゆっくりハバキを上げていき引っ掛からない方、という感じで装着しています。

鎺の全体写真はこんな感じ

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刀で騙されていそうな事案

刀で騙されていそうな事案

以前刀剣店で刀を初めて買ったという人と話をした。
年代は60歳ぐらいだろうか。
金の指輪やらネックレスやら時計やら貴金属をじゃらじゃら身に付けブランド物のハンドバッグを手に持っている。

あまり人を風貌で判断するのも良くないが、あまり日本刀を真面目に楽しんでいるような人とは少し違った印象を受ける。
その方がどうやら初めての刀を一振り買ったというので写真を見せてくれた。
地方の刀剣店で買ったというそ

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お稲荷様の小さな置物

お稲荷様の小さな置物

少し変わった物を購入。
真鍮地の稲荷様の置物です。江戸~明治時代のものではないかとのこと。

稲荷様はもとは五穀をはじめ食物を司る神様で生命の根源を司る命の根の神様(「稲」が「命の根」と言われるところから)とされ、「稲がなる」という所から「稲荷(いなり)」と呼ばれるようになったのだとか。

そして稲作の豊凶は昔から生活や命に直結する大きな関心事だったからか、稲荷様は江戸時代以降広く信仰され、今現在

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日本刀展示即売会情報(2024年8月~9月)

日本刀展示即売会情報(2024年8月~9月)

暑い日が続きますね。
暑い日には涼しい静かな部屋で刀剣鑑賞などゆっくりしたいものです。

さて前回の更新からまたすっかり忘れてしまい、半年ぶり位の更新になってしまったのですが、2024年8月~9月に開催される展示即売会の情報をまとめました。
お近くの方、刀や刀装具を探されている方、是非行かれてみてはいかがでしょうか。

尚、個人的にネット等で調べたものですので漏れもあるかと思います。
ご容赦下さい

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反りすぎた刀は再刃の可能性

反りすぎた刀は再刃の可能性

姿を見れば時代が分かる、とは上手く表現されたもので本当に姿である程度時代が分かるのだから刀は面白い。
これはひとえに時代時代で戦闘様式の変化に合わせて刀の形も最適化されてきたとも言える。
尚、刀の姿を見る際は以下の様に少し肩を前に押し出して刀を持ち、目線から刀を遠ざけると姿が見やすくなる。

そして面白い事に大体以下の通りになっている。(大摺上げなどは生ぶの状態を頭で再現する事が求められる)

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島津正宗、結局どちらが正しいのか実は簡単に分かるのでないか説

島津正宗、結局どちらが正しいのか実は簡単に分かるのでないか説

完全に個人の説ですが。
今日から名古屋刀剣ワールドさんで伝正宗はじめ平安時代の名品や皇室ゆかりの刀の展示が始まるようです。

さてこのチラシに展示されている拵は島津正宗の拵とされ、少し前に刀剣博物館の展示「正宗十哲展」でも展示されていた事は記憶に新しいです。
その際にこの刀が島津正宗の特徴と一致する部分が多いとの事で、新事実として注目されていました。根拠などは以下にまとめています。

しかし今回の

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