![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122878614/68545909fe9bd9e6da8e30413091c4a4.jpeg?width=800)
- 運営しているクリエイター
2023年6月の記事一覧
復讐の女神ネフィアル 第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第5話
マガジンにまとめてあります。
足音は大きくはない。あたりの静けさを引き立てるように、微かに響く。
この広間は客間のようで、来客を迎えるための設えが整えられてるようだった。かつては。今はほこりが積り、花瓶に飾られていた花々も枯れて、貧相な様子を見せていた。
そんな中に、開け放たれた扉の向こうから彼は来た。
「これはこれは」
まるで道端で偶然に知り合いに出会ったかのように、その壮年
復讐の女神ネフィアル 第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第4話
マガジンにまとめてあります。
「こりゃ大したもんだ」
リーシアンはにやりとした。ジュリアは二打目を与えようとしていた。巨大蛇はジュリアの方を向く。
アルトゥールは前に出た。ジュリアとは反対側の側面に行った。大蛇から見れば右側となる。
「女神の力を」
メイスが紅く光る。やや暗みのある、しかし澄んで透明な紅い光。
「ジュリア、避(よ)けろ」
言いながら打ち掛かる。蛇の頭部は完全に
復讐の女神ネフィアル 第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第3話
マガジンにまとめてあります。
アルトゥールも、その場にいた二人も悲鳴を聞いた。ヘンダーランの屋敷から聞こえる悲鳴を。
「おいおい、何があったんだ?」
「嫌な予感がするな」
「行きましょう!」
ジュリアは、白く簡素な神官服の下に細身のメイスを下げていた。今はそれを手に、胸元に掲げてみせた。
細身のメイスは鉄製の柄の先に、三角形の金属板が四枚、四方に三角形の頂点の角が向くように取り付
『復讐の女神ネフィアル』第7作目『聖なる神殿の闇の間の奥』第2話
マガジンにまとめてあります。
「あそこが狙いの家だ。神官長ヘンダーランがあそこにいる」
アルトゥールは今、リーシアンと共に狙いのジュリアン神官の居宅の近くに来ていた。平たい石版で舗装された道はここにも続く。この辺りは立派な設(しつら)えの家が多い。
「立派なもんだな」
「ああ、見た目だけは」
「中は違うのか」
「中は荒れ果てていて、およそ人の住む家とは思えないほどだ」
昨夜、使い