本当は水なんか大嫌い
水底に沈むピンク色の板
天井に見える三角の旗
赤い帽子をかぶり、水色のゴーグルを身に着け泳ぐ
水中は無音で笑い声も笛の音も聞こえない
ただ、大きな針の時計が私を見続ける
大量の水の中を泳いでいるのに、顔にかけられる水鉄砲の水が怖い
鼻から流れ出る血にも気が付かず、四回目の呼吸すら忘れて泳ぎ続ける
小学生の頃、なんで小人と大人で電車料金が違うのかずっと疑問だった
キラキラの宝石が付いたヒールを履くだけで、少し大人になれた気がした
セロリの味が理解できない時、まだまだ子どもだと思った
子どものビールなんていう飲み物が、私たち子どもを少し大人にさせた
今なら誰の許可なく買えるのに、本当のビールの魅力が分からない
その代わりに、いつの時代のものか分からないピンバッジに心惹かれる