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IDGs Summit 2022 参加レポート(1/7)(Welcome編)

前回は、IDGsの紹介をしてみたので今回いよいよ参加体験をレポートしていきます。

昨年は、MindShiftという会議だったようなので、IDGs Summitとしては初めての開催だったようです。


会場

私が参加したのはメイン会場のStockholm Concert Hall でしたが、そのほかにも5つの会場で同時開催されていました。

メイン会場のプログラム

Welcome〜Being〜Thinking〜Relating〜Collaborating〜Acting〜Summary
という流れでIDGsの5つのカテゴリーで進行されました。
ヨハン・ロックストローム、エイミー・エドモンドソン、ロバート・キーガン、オットー・シャーマーと錚々たる講演者です。

タイムテーブル

以下全体のタイムテーブルです。日本時間の16時から0時までの長丁場。
知っている登壇者はいるでしょうか?
Stockholm Concert Hall Program

Moderator
Katharina Moser, 
Moderator & Experience Designer, IDG Summit

09.00 – 09.40 Welcome
 Mapei, 
Music artist
 Johan Rockström, 
Ph.D., Director of the Potsdam Institute for Climate Impact Research
 Jan Artem Henriksson, 
Executive Director, Inner Development Goals
 Hannah Boman, 
Co-founder and Head of Operations, The New Division
 Erik Fernholm, 
Founder and Chair, 29k 

09:40 – 10.30 Theme: BEING
Aftab Omer, Ph.D., Brandeis University 
Reneé Lertzman, Strategic Sustainability Consultant & Founder, Project InsideOut
Fredrik Livheim, Research and Content Strategist, 29k
Jonathan Rosen, International language-based artist
10.30 – 11.00 Break

11.00 – 12.15 Theme: THINKING
Antonia Eriksson, Spoken word poet 
Robert Kegan, Ph.D., Harvard Graduate School
Phoebe Tickell, Biologist and Systems Thinker, Founder and Director of Moral Imaginations
Panel: 
María del Pilar Garrido Gonzalo, National Planning and Economic Policy Minister, Costa Rica
Lars Strannegård, President of the Stockholm School of Economics
Diane Gashumba, Ambassador, Embassy of Rwanda to the Nordic Countries
Åsa Jarskog, Moderator, Global Outreach and Capacity Building, Inner Development Goals

Jules Sentore, Music artist
12.15 – 13.30 Lunch

13.30 – 14.20 Theme: RELATING
Aftab Omer, Ph.D., Brandeis University 
Jennifer Garvey Berger, Ph.D., Harvard University
Micael Dahlén, Professor, Stockholm School of Economics
Elin Pöllänen/Kieli, Music artist

14.20 – 15.10 Theme: COLLABORATING
Antonia Eriksson, Spoken word poet

Panel: 
Naila Kabeer, Joint Professor at the Departments of International Development and Gender Studies, London School of Economics and Political Science
Åsa Jarskog, Moderator, Global Outreach and Capacity Building, Inner Development Goals

Divine Ndhlukula, Founder, MD of DDNS Security Operations (Pvt) Ltd
Johan von Schreeb, Ph.D., MD, Professor Global Disaster Medicine
Kristian Gründling, Filmmaker
15.10 – 15.40 Break

15.40 – 16.35 Theme: ACTING
Aftab Omer, Ph.D., Brandeis University
Panel: 
Pernilla Wikman, VP Head of Global Business Telia Company
Christina Niemelä Ström, Head of Sustainability, IKEA Supply
Camilla Wallander, Moderator and CEO, Berghs School of Communication

Michiel Bakker, Vice President, Global Workplace Programs, Google
Otto Scharmer, Senior Lecturer, MIT Sloan School of Management
IDG Field-kit preview: 
Jakob Trollbäck, Founder, The New Division and Trollbäck + Company 
Kristian Stålne, Research Lead, Inner Development Goals
Caroline Stiernstedt Sahlborn, Moderator and Partner, The Inner Foundation

16.35 – 17.05 Summary
Amy Edmonson, Ph.D., Harvard Business School
Jan Artem Henriksson, Executive Director, Inner Development Goals
Jules Sentore, Music artist
17.30 – 19.00 After-party
Reflections and decompression at Ekskäret Klustret, Birger Jarlsgatan 58, 114 29 Stockholm

Welcome

さてどんな雰囲気なのか開場の少し前にオンラインで入室してみると、会場はストックホルムのコンサートホール。ステージにはDJブースが設けられ開場前はDJが軽快にラウンジ感のあるダウンテンポなエレクトロニカをセレクト。なんだか楽しげな雰囲気が流れています。日本時間16時の開始直前には、アップテンポなハウスがかかり始めて、ワクワク感で小躍りしたくなるような雰囲気に。

いよいよ、スタート。オープニングはMapeiのライヴDon't Waitでスタート。お祭り感が止まりません。


希望に満ちたライヴの後のオープニングトークは、この日の功労者、メイン会場の司会進行をつとめたKatharina Moserさん。
パンデミック、ウクライナとロシアの状況、気候危機の諸問題、生物種の絶滅、資源の枯渇など時事問題を話題にしながら、とても大丈夫だとは思えない状況だと問題提起をしていきます。
私たちに必要なのはより良い世界にしていきたいという内に秘めた心の声。多くの人が内に秘めた深い声を聞くことで大丈夫になれる可能性が高くなる。とKatharinaさん
リアル会場の参加者との一体感も高めながら進行します。

プラネタリバウンダリー提唱者

ヨハン・ロックストローム博士のオープニング講演

最初の講演者は、プラネタリバウンダリーを提唱した、ヨハン・ロックストローム博士。NHKの環境特番などではお見かけしたことはありましたが、詳しく知らず、今回の講演とTEDの講演などをみると、システム思考家のようにお見受けしました。

講演内容
人類の活動が環境へ及ぼす影響が相対的に高くなり人新生の時代と呼ばれるようになりました。そんな中、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2030年が分岐点と調査報告しています。2030年まであと8年、8年以内に気温上昇を1.5℃未満に抑えることが必要。1.5℃にティッピングポイント(臨界点)が存在し、1.5℃以上の上昇で気温上昇が暴走し、様々な環境問題を引き起こすと論じています。
そして、地球上の歴史で2℃気温が上昇したことはなく残された時間はないと。

ロックストローム博士らは地球環境の限界を9つのカテゴリ
1. 気候変動(Climate Change)
2. 成層圏オゾン層の破壊(Stratospheric ozone depletion)
3. 海洋の酸性化(Ocean acidification)
4. 生物圏の一体性(Biosphere integrity)
5. 生物地球化学的循環(Biogeochemical flows)
6. 淡水利用(Fresh water use)
7. 土地利用の変化(Land-system change)
8.大気エアロゾルによる負荷(Atmospheric aerosol loading)
9.新規化学物質(Novel entities)
で整理しています。すでに「1.気候変動」「4.生物圏の一体性」「5.生物地球化学的循環」「7.土地利用の変化」「9. 新規化学物質」の5つで限界もしくは安全域を超えているといいます。

かつてない危機を乗り越えていくには、(SDGsのように)様々な視点で同時に達成していくイノベーションが必要。イノベーションの浸透には、マイノリティーの取り込みが必要だとも。
ここで、「人口の3.5%を動員して成功しなかった運動はなかった、3.5%の人を動かせば社会は変わる」というエリカ・チェノウェスを引用します。

さらにリンカーンの「市民の感情が全て」との言葉を引用し、内なる指針なしに進めることはできないと論じます。
最後に、世界がどこに行くかというこの状況で、子孫が生活できない場所にするか、繁栄できる場所にするかの岐路に立っていると。
今まさにメンタルモデル を変えるエキサイティングな瞬間にいるという言葉で講演を締めます。

IDGsにもSDGsにも共通した課題の地球環境の危機的現状からスタートというのは、とてもよかったと思います。

このあと、他会場の紹介が中継され、Welcomeパート終了。
29K :心理的トレーニングの意義、心理学的スキルをどのように活用していくか、エクササイズ
Karolinska Institute:精神的障害を抱える子供たちに接する機関からの報告
Stockholm School of Economics:ビジネス、教育での実践について
Presencing Institute:対話について
Harverd University:教育の専門家、哲学者からIDGsコンセプトの測定法について

参考

システム思考といえば、「成長の限界」のドネラ・メドウズさんが著名でMITのシステム・ダイナミクス学派の系譜ですが、ロックストローム博士にも影響を与えているように思います。
ついでながら、システム思考の入門書として重宝したドネラさんの著書も紹介しておきます。

ロックストローム博士の「環境的な上限」プラネタリ・バウンダリーの9つの上限は、ドネラ・メドウズさんの弟子のケイト・ラワースさんのドーナツ経済学にも使用されています。こちらも参考になる書籍なので紹介しておきます。

次のパート

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