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『Ank:』読書感想。


2026年、突如京都で起きた大暴動をきっかけに人類の本能に刻まれた邪悪な性質が浮き彫りになる。

ミラーリングを行う程の高知能を持つチンパンジー・アンクが危機に瀕した仲間を目にし、本能の奥底に潜んでいた警戒音を発したことにより、人類の暴力的本能が呼び起こされてしまう。

暴力装置としての本質が露呈したとき、人間はいかに振る舞うのか。

人を人たらしめるものとは一体何なのか。

客観を身につけ、比較を覚えた人類が陥った終わることのないジレンマ。

ゾンビもののような突飛な暴動から、深いテーマへと飛躍していくスピード感が読んでいてすごく楽しかった。

良い小説でした。

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