シェア
2017.12 014+1 ೫ Profile 序文 電池式被告 / 早乙女まぶた 言葉、エラー / 菫雪洞 アクリルルーム / 水槽 まどろみ / 岩倉文也 タイトルなんか雑にいっちゃうと売るためのものだからないならない方が自然なんだよな / いいな とあるミュージアムにて / だんご マクトゥーブ / 煩先生 好き好きなむなむクリスマス / おだやか 20111128✳️6年前の冷凍 / ひのはらみめい 不眠症者の夜 / 藁反詩 言うべきでないこと
<生は博物館に飾られるべきものではない。私たちが好きに扱うものだ。自分の手で独占的に私物化しなくてはならない。>* もし文学や芸術などというものが確実な形を伴って現れるのなら、ぼくたちに残された道は内側から破壊するか外側から破壊するかそのどちらかしかありません。なぜならそれらがどのような形を持っていたとしてもぼくたちとは関係のないまるで異質なものだからです。 ある作品に感銘を受けた時、もしそこに何らかの価値があるとすればそれは感銘自体に価値があるのです。5年後、10年後、そ
貴方の忘れたやり取りを再生するけど劣化が激しくて 半分は伝わるけどもう半分は忘却の彼方 リピートする音声は何が起こったかリプレイできなくて 吐き出すエラーを無視して再現すると100% 99%同じことが貴方に起こって もう息をしていないそれを聞く 1%は初めからなかった 忘れないように忘れた1%
溶け出した、柔いアクリルを舐めた その口でキスをした、まま、で、 ぼくらずっと、灰青色の確認 海豚の背中に植えられていた bitween grief and nothing, man will grief always 信号を丁寧に包んだ波が 船から船へ (blue:21mg) 塩素で焼けた目を洗う 放課後の遊泳が 忘れられないのだ 泣いていたきみの夕景は いつも溺れていたから
まどろみのなかでぼくはたちあがり 蒼白な眼をぱちぱちさせていた まぶたに染みついた陽だまり わずかに影をおびたくちぶえが ぼくのつめたい夢からにじんでいる 鋭くとがった坂道をのぼって 抉れてゆく無垢には白くてやわらかい 包帯がくるくる巻かれてゆくから ぼくのなで肩にふれて風は ゆるく並木のむこうへ消えていった ねむたげなくちびるに沿って ひっそりと失われてゆくなにかが ぼくの憧れを 無性にかりたてるけど 廃墟のうえを声もださずに飛んでいる あれはなんの鳥だろう ふいに風が
知らない音楽、 酒の抜け切らない痺れた体、 紙パックのレモンティー、 板チョコ、煙草、眠気、脈拍、 脈拍、脈拍、脈拍、脈拍、廃退 沢山の武器を両手いっぱい持って 二人でこの朝を迎撃するのさ この狭くて寂しい 一室で 二人で 浮世人たちが顔を真っ赤にして 汗を撒き散らしながら熱弁する愛とやらは 手を繋いでキスをして性交渉 そんな人間の摂理を 違う言葉で如何に綺麗に言うのか 一生懸命に競い合っててダサい だから君のことは 愛してないよ 愛がなんなのかなんて 知らない 知
四角い硝子に閉じ込められた菫 雌蕊から根毛まで清らかに佇む 蛍光灯に照らされて 今は冬 手の中に載せると重い 文鎮の役目を背負う物質と化した 商品棚に群がる人々は毎日違う目をしている 花弁を散らすことを許されず 土に還ることも禁止された 手垢に塗れた身体 その紫は絶えず無言で 人工的時間の中を生きる 桜は一万円 菫は八千円 値段を読みあげる子どもの声を 何度も聞いている
砂漠は拘置し 枷を創建する 神聖な啓発に 訓話が退って 叡智の嘆息で 強く愛惜して 温暖な哲理は 隠逸を契った 湖畔は再起し 空を改革する 勁烈な新鋭に 隙間が腐って 大器の永遠で 甘く追考して 適確な音詩は 鎮静を祈った
いちごがいっぱい サンタはたくさん 愛してるって言ってほしい 源氏パイはいつもハートのかたち となりのトナカイ 無意味なミーム かわいいねって言ってほしい グリコのキャラメルもハートのかたち バブバブベイビー もみの木燃えた いい子だねって言ってほしい あなたにないしょのハートのかたち
だいがくにはいってからというもの、感情のままに生きることをたいとくして僕はしたいままの生き物となってしまった。心の中のインナーチャイルドがそれに目をつけはじめた、僕は食べるのも眠るのも遊ぶのも激しい欲求の咆哮につきうごかされてしたいときに行わざるを得ない体になってしまったのだ 頭の中が言葉に変換され文字に埋め尽くされる 僕は書きたい衝動に襲われている ビークール、アンド、ドライ 黙れ、冷静になるんだ、抑えるんだ、 言葉でいっぱいとなった脳内は排出を要求する、 ビークール、ア
劇の幕間 病気の人間のそぞろ歩き だらしなく両手をぶらーんと垂れ下げて マイスリーをくださいと 精神科医の靴を舐める 処方箋 詩 重篤な副作用はありませんが、ごく稀に依存を形成する可能性があります 詩を舐めながら 寝た 詩を噛むと 粘つく虚栄心が 喉にからんだ(詩を舐めるときは、舌を2つ使うのをお控えください) 不眠症者の夜 睡眠薬をねだる獣を軽蔑しながら 夢も見ない眠りについた じゃ、 あとはよろしく……。
風の鳴らす金網がきりきりと痛むと 子どもが急ぎ足で 死んでいくような気がするのだ 暇と積み上げた辞書は何も語らなくて 僕はだから大げさに手を振った 顔にまとわりついた霧は いつまでも消えなかった 文字の光沢を いったい誰が意識して良いのか? その疑問は年号と塔が逆さに見えた 車の後部座席でのことで 僕がまだ 揺れる目路に吐き出される煙の ひろがりを辿っていたころだった いよいよ脳は色を失っていく 徐々に透過を強めていく 有りがちな加速なのだ これは 外転した指先が 溝に触
押し寄せて来るのは感動の波。わたしは泣きたくなって、しかし、波には乗れず、欲求は具体性を求めて頭を痛めつける。痛い、痛くて眠れない。 わたしは泣くために物語を探す。 安っぽいものは食べられない。 頭の中で犬が死んだってそれは仕様なのです。 曇り空はやく飽和してざあざあ雨を降らせてくれって地団駄ふんで、どうにもならないから代わりに血を流した。 生クリームが乗っている飲み物うまく飲めない。ぐるぐる混ぜようとしてもストローの差し口がべたべたしちゃう。 わたし所在がない。 そのくせ
頭の周りをジグザグに光の粒が降りてきて、よく見ると雪であったと気づく。 初冬の町をあてどもなくふらついていると、いつの間にか、おれの頭は枯葉でいっぱいになって、 その中を、おっとりした大型犬と子どもが、ガサガサと音を立てて泳いでいく。 *** 季節は自らを死に追いやりながら廻転するレミングの群れだ。 それら喪失の重量と釣り合うだけの情緒を、おれは求める。 真綿のような初雪は、凍てつくアスファルトの上で行き倒れたカマキリへの手向けであろう。 *** この枯れ葉が