とあるミュージアムにて / だんご

四角い硝子に閉じ込められた菫
雌蕊から根毛まで清らかに佇む

蛍光灯に照らされて
今は冬

手の中に載せると重い
文鎮の役目を背負う物質と化した

商品棚に群がる人々は毎日違う目をしている

花弁を散らすことを許されず
土に還ることも禁止された
手垢に塗れた身体

その紫は絶えず無言で
人工的時間の中を生きる

桜は一万円 菫は八千円

値段を読みあげる子どもの声を
何度も聞いている