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働いていない兄がずっと恥ずかしかった
我が家は割と裕福で、働かずとも困ることはなかった。
それに甘えて兄は高校卒業後、約8年間ニートをしていた。
私はそんな兄が嫌いにはなれずとも、
友人や周囲の人に話すのが恥ずかしく、疎ましく思っていたのだ。
なにより正直自分も精神病だと言いたいくらい病んでいた時もあった。
内科で自律神経失調症といわれていたが、自分の内面をコントロールできずにいた時期だった。
そのため、兄のように病気だと甘えたくない、あのようになりたくないを一心でバイトもしていたし、集団行動が苦手だったが大学も卒業することができた。
今思うとその頑張った恩恵はよくわからない。
兄の方が親の援助と家業を手伝(といっても店舗間の荷物運びや講習に出るなどといった通常のサラリーマンよりは楽な仕事だ)っているほうが全然稼いでいるのだ。
ある日そんな不平等な環境に私は家族とも物理的に距離を置いた。
思えば小さい頃は仲が良く、面倒見のいい兄だった。
いつしか妹が鬱陶しい存在になり、ひきこもりになってからは人を拒むようになり
人が変わってしまった。
人相もすっかりしかめっ面になってしまい少し同情した。
最近は兄自身ペースを少し掴めるようになったのか、家業でさえ休みがちだったが、
積極的に仕事ができるようになってきたらしい。
働き初めの時は私にペットボトル1本おごるのがせいぜいだったのに
(彼なりに兄らしいところを見せたかったのかもしれない)
昨年、私の結婚をきっかけに10万円近い自転車を買ってくれた。
もちろん金額の話ではないがそこに兄の成長を感じた。
そして結婚式で誰よりも感動してくれ、
いい旦那さんに出会えて安心しました。
といったビデオレターを残してくれていたことに私は感銘を受けたのだ。
幼少期仲良かった時の優しかった兄が少し戻ってきてくれたようで嬉しかった。
大好きだったお兄ちゃんが
自慢できない恥ずかしい兄貴になり
今では遠くでそっと見守る兄になった。
時が解決してくれるとはこのことなんだろう。
今でも自転車に乗っていると兄が見守ってくれるようなふと温かい気持ちになるのだ。