新しい本棚
先週末、本棚を探しにIKEAへ行った。今の家にもともと置いてあった本棚では、本が収まりきらなくなってきたのだ。ロンドンでは日本語の本はあまり売られておらず、売っていたとしても割高なため、日本語の新書を買うことはまずない。しかし、両親や義両親が日本から送ってくれたり(高額な送料にも関わらず!)、先月、日本から遊びに来ていた両親がたくさんの本を持ってきてくれたため、渡英当初よりずいぶん本が増えていた。また、有難いことに、こどもたちの通う日本人補習校で学期に1回、古本セールが開催され、そこで古本をたくさん買ったりもしていたし、こどもたちが英語の本も読むようになってきたので、英語の本も多くはないが、増えてきていた。
ということで、それらを収納するための本棚を購入した。本当は大きな本棚が欲しいのだけれど、あまり本を増やし過ぎないようにという自戒も込めて、横幅約1メートル、縦3段の本棚を選んだ。帰宅後、さっそく夫と息子が2人で組み立て開始。夫と息子は工作や何かを作る作業が好き。手際よく作業して、すぐに完成した。
その真新しい本棚に、これまで収まりきらず棚の上やカゴなどに仮置きしていた本たちを並べていく。真っ白な棚が、背表紙に彩られていく。空っぽの棚が、カラフルな文字で埋まっていく。本棚に本を並べるのは、とても楽しい作業だ。
そういえば、奈良にいた頃、引越しをした友人の家に荷物の片付けを手伝いに行き、本棚の整理を仰せつかった。その友人夫婦の本の趣味がとても興味深くて、ダンボール箱から出した本のページをぱらぱらとめくりながら、本棚に移していった。本棚を見ると、その人の趣味嗜好が垣間見えて面白く、あっという間の作業だった。帰りには、何冊か本を借りて帰った。
話が逸れてしまったけれど、本がすっきりと並んで収まった本棚を見ると、なんだかわくわくしてくる。本の背の高さや幅、縦書き横書き、大小様々な文字、多様なフォント。本棚にはありとあらゆる雑多なものが混在していて、その中から自分のお気に入りの本を探すことは、本屋さんでなく、自分の家の本棚であってもやはり楽しいものだ。買ったものの、本棚に置きっぱなしで半ばわすれかけていた本が、ある日突然、光を放ち「今が読むときだよ」と本の方から教えてくれることがある。そしてそういう時は不思議と、本当にその本を読むべきタイミングだったりするのだ。また、本棚を眺めて、何度も何度も読み返している本の背表紙を視線が通り抜ける時には、道端で親しい友人に出会ったときのような気分になる。そういう楽しみ方は、電子書籍では味わえないのではないだろうか。私も娘も本を読むことが好きだけれど、どちらも電子書籍で読もうとは全く思っていない。紙の本以外は、読む気にならないのだ。たとえアナログであろうとも、たとえかさばって場所をとろうとも、たとえなかなか手に入らなくとも、たとえ高価であろうとも、やっぱり私たちには、紙の本がいい。本棚にずらりと並んだ本の中から、その時その瞬間に、自分に語りかけてくれる本を探すのがいいのだ。
今年の年末には、日本に一時帰国する予定なので、娘と一緒に本屋さんへ行き、またたくさんの本を買って帰って来ることになりそうだ。でも、そうすると、また本棚が足りなくなっちゃうな…嬉しくて幸せな悩みにアタマを抱えながら新年を迎えることでしょう。