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マリオとルイージ

中学生1年生くらいと
小学校高学年の兄弟だろうか。
親は一緒に来ていないらしい。
店内には他にもお客様がいたのに、
なぜその兄弟に目にとまったかといえば、
私にも二人の男の子がいるからだ。

私の子どもは6歳と3歳。
家で退屈そうにしていたので、
Nintendo Switchを買ってあげた。
長男は小学生ということもあり、
「まだ早いかな」という不安を他所に、
大人がやるようなゲームも楽しんでいる。

かたや次男は、
どうもルールすら理解していないようだ。
長男がプレイするのを見て、
その真似をしようとするが、
穴に落ちてばかり。
それを見かねた長男が得意そうに
横で教えてあげている。

「これ、ください」
お兄ちゃんの方が一つの
ゲームソフトを持ってきた。
Nintendo Switchのソフトだ。
私はレジを打って、お金を受け取り、
商品を渡した。
弟の方は横で黙ってその様子を見ている。

しばらくすると、
今度は弟の方がゲームソフトを持ってきた。
横にはお兄ちゃんがいるが、黙ったままで、
どこか不安そうな面持ちだ。
私がレジを打っていると、
お兄ちゃんが弟の財布を指さしながら、
どのお札を出せばいいか教えている。

私がお金を受け取り、
商品とお釣りを手渡すと、
弟は安心したのか満面の笑みを浮かべた。
恐らく初めて自分のお小遣いで
買い物をしただろう。
横にいるお兄ちゃんも、
満足そうな顔を浮かべている。

「よかったな」
そんな心の声が聞こえてきそうだ。
自分が先に買い物をしたのは、
弟に見本を示したかったのだろう。
弟はその気持ちに応え、
お兄ちゃんの真似をしてみせた。

実は私自身、二人兄弟で2つ上の兄がいる。
小さい頃はやはり喧嘩ばかりしていたが、
私はなぜか兄の物真似ばかりしていた。
兄が漫画を描くのが好きだったから、
私も漫画を描いてたし、
兄がギターを弾き始めたら、私も引き始め、
兄が進学塾に行ったら、
私も行きたいと親に頼んだ。

すぐ真似をする私を、兄は内心、
鬱陶しかっただろう。
実際、それが原因で
喧嘩になったこともある。
ただ、困ったことがあると、
手を差し伸べてくれた。
私が算数に苦戦していると、
算数を教えてくれた。

私の子どもたちも、普段は喧嘩ばかりだ。
ただ、憎しみあっているのではない。
違う人間としてぶつかりあいながらも、
同じ人間として、弟は兄を追いかけ、
兄は弟に手を差し伸べる。

まずは家族という小さな世界で、
大きな世界に出る準備をしているのだろう。
今日の小さなお客様みたいに、
兄弟で新しい一歩に踏み出す、
その瞬間を見逃すまいと、改めて思った。

さて、
まずは『スーパーマリオ3Dワールド』の
クリアから見逃すまい。
好きなキャラクターを選んで遊べる、
このゲーム。
兄はピノキオを選び、
弟はピーチ姫を選んだ。
そこはマリオとルイージではないらしい。

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