なつかしい笑顔
カメラを始めるきっかけになった上司が定年で職場を離れてから2年ほど経つ。真面目なことはほとんど口にせず、机のデスクマットには、仕事の書類のかわりに 「プロカメラマンが教える!知っておきたい写真のこと100」 が入っていた。
カメラは本体だけで50万円のキャノン。そのカメラでないと、自分がイメージする写真が撮れないと言っていた。撮った写真を、昼休みに皆に見せたり、自分のパソコンのスクリーンセーバーにしたりする。初心者であるにもかかわらず、私はその人の写真には、ちっとも感心することがなかったのだけれど・・・
いい写真を撮る秘訣を訊ねると「もう一歩前へ」と笑いながら答えるのが常だった。定年したら家族の住む関東の家に戻り、ピザ屋のスクーター( 本当に注文したと言っていた ) に乗って、毎日写真を撮りに出かけると言っていた。元気でいるだろうか。
写真は、まだその上司が在籍していたころに撮ったもの。受けた影響などといったものは少しもないし、今とは撮るものも違うけど、最近の写真にはない何かが伝わってくるような気がするのはどうしてだろう。
朝の道
すれ違う二・三人居て
「孤独じゃない」と単身上司
幸ならんひとから汝こそと春日向
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