貸切王にオレはなる!
こんな試みをなされているとは知らなかった。
出町座では確か自分ともうひとり(連れではなく他人)、二人鑑賞が最小人数だった。いつ頃だったかも映画タイトルも忘れましたが。惜しい。
そんなわたしが人生の中で貸切王になったのは二度。
初回はきっと誰もが予想外、なんとジブリ映画です。
『思い出のマーニー』。
MOVIXだったかT-Joyだったか、とにかくシネコン。
つまりでかい。
とてもでかい。
ひとりきり。
予告開始5分前くらいに席について、「まだ誰もいないな」と思いつつ、まさかその後も誰も来ないまま始まるとは思いもしませんでした。「アレ、スクリーン間違えたかな……??」とたいそう不安になりました。
シネコンの広いスクリーンって、前方部分の座席と後方部分の座席の間が結構広い通路になってるじゃないですか。その後方部分一番前から二列目のど真ん中を陣取っていまして、つまり誰かが入ってくればすぐ判る状況だったのですが、結局最後の最後までひとりきりでした。
最初は「自分ひとりの為になんという電力の無駄遣い……!」とドキドキもしましたが、途中からはなんだか富豪のようで楽しくなってきた。屋内で人間ひとりがこんなに広い空間を占有できるって殆どないことじゃないですか? こんなにも悠々とした気持ちで映画を観たのはこの時くらいかも。
それにしても、確かに公開終了に近い時期ではありましたものの、ジブリでまさかのひとり鑑賞になろうとは本当に想像もしませんでした。割といい映画でしたのに。
そして二度目のひとり鑑賞はこれ、
『ファントム・スレッド』。
ちなみに今回の記事のトップ画像は、2018年に旧京都みなみ会館の閉館日に撮影したもの。
それから約1年半後に現在のみなみ会館が開館しまして、自分が訪れた初の新生みなみ会館での鑑賞がまさかの貸切王でした。
あのダニエル・デイ・ルイスが、今わたしひとりの為に全力の演技を披露している……!←ポジティブ思考
いやでも本当に、素晴らしき贅沢感でした。
劇場の広さは勿論シネコンのそれとは比べものにならないですが、それでも新しいみなみ会館の座席はとっても座り心地が良くて、映画内容もあわせてめくるめく陶酔感を堪能しました。
しかし、ああやって孤独を際立たせることで有能さに磨きをかけてきた人が、一度べたべたに甘えさせてもらえる体験をしてしまうと癖になっちゃうの、判るわ……(笑)。
アルマに出逢ったお店での朝食がいろいろと美味しそうでボリュームもすごくてたまらんかった。「ウェルシュ・レアビット」なる料理名が初耳で、「それは一体何だ、後で必ずチェックしなければ」と脳内で30回くらい「ウェルシュ・レアビット」と唱えて記憶しました。←映画に集中しましょう
ちなみにこんなお料理だそうです。ビール入りのチーズソースをとろっとかけたトースト。
もうすんばらしく美味しそうじゃないですか……? これにラプサン・スーチョンあわせるの確かに「正解」な予感がするな。
それにしても気になるのですが、規模の大小を問わず、観客ゼロの時って映画館側はもうそのまま映画流しっ放しにしとくんですかね? それとも、「1時間経ったけど誰も来ない、もう止めよう」みたいに途中でやめちゃうんでしょうか?
ひとっこひとりいない映画館にただただ明るく光るスクリーンって、ホラー味があってちょっと良いですね。『ZOO』とか『CURE』がいいな。その様子を撮った映画が観たい(笑)。
あの贅沢感、正直また味わってみたい気持ちはあるのですが、まあ貸切王なんてのは狙ってつける王座ではないし、映画館的にはアンラッキーであることは間違いないので、欲張らず運を天に任せてせっせと映画館に通おうと思います。
いつかバッジをゲットしてみたいな〜。