梅雨に読む物語〜『雨音は、過去からの手紙』(マイナビ出版ファン文庫)販促・2
前回に引き続きまして、『雨音は、過去からの手紙』(マイナビ出版ファン文庫)の販促です。
今回ぐいぐいとこの作品を推したい点は、何と言ってもこれ、表紙です。
二作目『世界の端から、歩き出す』(ポプラ文庫ピュアフル)といい最新作『真夜中のすべての光』(講談社タイガ)といい、わたしは本当に表紙には素晴らしく恵まれている、と胸を張って言えます。
こちらの表紙を描いてくださったのは、イラストレーターのふすいさん。
実は『世界の端から、歩き出す』もご担当いただきました。本当に光栄なことです。
表紙のイラストの大きいバージョンがこちらからご覧いただけます。
本当に素晴らしい……!
この、緑の鮮やかさと深さ。ぐん、と絵の中の世界に吸い込まれていきそうな奥行き感。
ざあっと降った雨がおさまって雲間から日がさす、その一瞬をとどめて輝く雨の雫。
雨で洗われて澄んだ森の空気が肺に入ってくるのを感じます。
また、出版当時、サイトに応援イラストを描いてくださいました。
こちらもまた、素晴らしいのです。
物語に出てくる重要なスポットが、避暑地の湖畔の別荘です。
湖に面して大きなバルコニーがあり、そこでひとり物思う女性。
手元にさりげなく置かれた本がこの作品、『雨音は、過去からの手紙』なのが何とも心にくい演出です。
今でも、見る度、初めて見た時の嬉しさがよみがえります。
更にこの美しいイラストに、デザインを施してくださったのがベイブリッジ・スタジオの関戸愛さん。
トップに表紙写真出してますが、タイトル部分をアップにしてみました。
この、細部にまで目の配られた細やかさ……!
「雨」の文字の中の点が、本当に雨の雫のようにデザインされていてかわいらしい。
ともすればおとなしめな印象を与えてしまうなめらかな明朝体に、ところどころスパっと黄色く鋭く楔を打つようにしてパキっとしたタイトルらしさを与えています。
タイトルと著者名を囲むラインもステキ。美味しいクッキーを入れた洒落た缶みたいです。
こちらは総扉と目次の右半分。
目次の字が歪んでるのは開いた本を手で押さえて撮ったからで、ほんとはまっすぐです、念の為。
この総扉のリリカルさったらありますか。あまりのスタイリッシュさに、「一体これは誰の本だ」と見入りました。
目次のデザインも良いです。まるで、開いている本の上に今しもぽつ、ぽつと雨の雫が落ちてきたようで、水染みに似せたにじみも美しく、物語が抱えた過去の時間を思わせます。
以前の『真夜中のすべての光』(講談社タイガ)の表紙推しの回の時にも書きましたが、中身よりもまず、この表紙の為に買ってもいい、と思わせてくれるレベルの表紙だと思います。すべてが本当に美しい。
願わくば中身もこのように美しい、と読んだ方に思っていただけるといいなあ。
こちら、AmazonにてKindle Unlimitedをご利用の方は、なんと無料で読めちゃいます。
雨の日に雨の絵の表紙の本を、読んでみませんか。