京都みなみ会館閉館のお知らせ(したくない) 〜 旧みなみ会館の思い出
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ついに目の前に来てしまった、この日が……。
時間が止まってほしい。
ここでざくっと京都みなみ会館の歴史を語りますと、そもそもは1950年代から、現在のみなみ会館の道をはさんで斜め向かいにあった映画館でした。
木造だったのを、1963年にコンクリに建て替え。一般映画だけでなく、ピンク映画もかけていたとか。それが1988年に京都の会社・巖本金属さんが買い取ってからは一般映画、それもミニシアター系の強い上映館となりました。
特にルネサンスホールで映画やってたRCSがプロデュースするようになってからはサブカルみが加速。黄金時代でした。
2010年にRCSが手を引いてからは一時期低迷もありつつも、吉田由利香さんが館長になってからは徐々に上昇。第二の黄金期を迎えます。
が、何せ建物1963年製。もうボッロボロ。耐震工事するにもお金がかかりすぎる、とのことで移転を決意。2018年に閉館します。
斜向かいにあった、巖本金属さんが持っていた建物を改修して生まれたのが現在のみなみ会館であります。
つまりわたくし、みなみ会館の閉館を二度経験することになる。
この一度目がもう本当に切なくも辛かった……。
何せ青春の映画館です。本当に本当に好きだった。
旧館の1階はその昔「ラスベガス」なるパチンコ屋でした。映画館ロビーよりトイレに繋がる廊下の窓から、パチンコ屋のBGMと球の音、タバコの匂いがいつも流れてきてた。ちなみにこのトイレ、最初は向かって右が女性・左が男性だったのに何故か改装時、左右が逆になった。洋式になった時は感動しました(笑)。
ロビーは狭いんですが、椅子もテーブルもあってくつろげた。壁にびっしり、自館と他館のチラシが置いてあって、物色するのが楽しかった。入り口の階段壁や廊下には上映作品のポスターがずらりと。
いつからか本の棚ができて、映画関連の本が置かれ、会員は借りることもできました。数回借りたかな。
いつだったか、劇場内の椅子がすっかり取り替えられて、これがもうふっかふかで背もたれも高く、本当に快適な座席でした。最高の映画館椅子だと思う。
旧館はスクリーンの中心からほんの少しだけ向かって左にずれたところに通路があって、自分の最適位置は前から3or4列目、右側グループ席の通路寄り。
画面ど真ん中席が好きなのですが、スクリーン中心線位置に座席が無いことってありますよね。そうすると中心線の右か左を選ばねばならないのですが、右の方が好きなのは多分この旧館座席経験が長いせい。
旧館は構造が面白くて、1列目から3列目くらいかな、そこまでは上り傾斜で、後は下ってるんですよね。だから3列か4列目が自分は一番見やすかった。後年、吉田元館長がネットのインタビューかなんかで「こういうつくりだから実はこの列がベスト」って言ってて、我が意を得たり、と膝を打ちました。
生まれて初めてのオールナイトもここでした。
『ピクニック・アット・ハンギングロック』、『プリンセス・ブライド・ストーリー』、『ドリームチャイルド』、あと一本あったと思うんですが忘れてしまった。
『ピクニック…』目当てで、『ドリーム…』はどこかでリバイバル上映された時に見てたので、これと『プリンセス…』で仮眠を取るか、と予定していたのに結局一切まどろむことなく爛々と夜明けまで見た。
特に全く期待してなかった『プリンセス…』がやたら面白かったことが記憶に残ってます。
オールナイト初体験、しかも一人鑑賞だったので全くのノープランで赴き、周囲の手練れ共が水筒やお弁当を持参しているのに目からウロコでありました(当時は上映中の飲食OK時代)。
これは自分でも謎なんですが、晩ご飯&ちょっと甘いもの、を大体20時頃までに食べた後、その後何時まで起きてようが全くものを食べないんですよ。無糖のお茶は飲みますが。
別にダイエットとかいうのでは全然なくって、ただただ食べる気が起きないだけ。たとえ夜中の2時や3時まで起きていたとて食べたくならない。謎。
こういう体質なので食料持参など思いつきもしなかったのですが、そら夜明けまで起きてるんだから夕飯後から数えて10時間以上食べ物胃に入れない、てどうかしてますわね。
この反省を元に、二度目のオールナイト、これもやはり旧みなみ会館で一人鑑賞、今回は水筒とお握りとおやつ、万全の体制で臨んだのでしたが、蓋を開けてみると結局殆ど食べずに画面に釘付けでありました。
作品はラース・フォン・トリアー『キングダム』、オールナイト一気見です。
もうこれは心底楽しかった。徹夜のハイなテンションで見る『キングダム』、最高。うはうは笑いました。そして無情のto be continued.
ちなみに1999年でした。そりゃ恐怖の大王も降ってくるわ。
こちら当時の上映リーフレット。
ポケモン→ビッグ・リボウスキ→キングダムが一日で上映っていい意味でどうかしている(笑)。
旧館写真をどかどかとあげます。
京都でも大阪でも、映画館がなくなるのをいくつも見てきたのに、こんなにも悲しかったのはここだけ。
トップにも貼ってます、旧館の最終さよなら興行一覧がこちら。
2018年3月31日、最終上映を観に行きました。
大人になってからこんなにも泣いたのはこの時しかない。泣きじゃくる、というレベルでだくだくに泣いた。
上の画像の作品一覧左端、「シークレット」のラスト上映は21時10分から。
作品なんて何でも良かった。とにかく必死でチケットゲットしました。
その作品がこちら、
ジャック・タチ&シルヴァン・ショメ
『イリュージョニスト』。
「魔法使いはいない」。
いいや、いる。
いるんだよ。
確かに此処に、いたんだよ。