【香港雑記】『恋する惑星』が恋しい~香港を愛する人とシェアしたい動画4選
70年代の末、香港中文大学に留学した。
都会の喧噪を遠く離れ、緑の自然に囲まれた、
東京ドーム30個分のキャンパス。
当時、大学は2校だけだった。
香港社会では、超エリートの大学生、
「将来、自分たちが香港を支えていく」
そんな使命感を以て、黙々と机に向かっていた。
1時間に1本しかない蒸気機関車に乗って、
週末のたびに、九龍の雑踏に足を運んだ。
旺角界隈の本屋を回り、
裏通りのB級グルメを巡り、
茶餐庁では、いつも定番の「焼鵝飯」に「紅豆氷」だった。
湿度99パーセント、蒸し風呂のような炎天下、
店内は、頭痛がするほど、ガンガン冷房が効いていた。
スターフェリーに揺られて、香港島に渡り、
2階建てのバスは、かならず上階の先頭席に陣取った。
いつもどこかで、フェイ・ウォンの「容易受傷的女人」が流れていた。
ずいぶんと後になって、中島みゆき「ルージュ」のカバーだと知った。
まだ大陸からの観光客は少なく、
街中では、広東語しか聞こえてこなかった。
ほぼ半世紀が過ぎた今、
香港が香港であった時代が恋しい。
1 許冠傑(サミュエル・ホイ)「相思萬千重」
2 『重慶森林』(邦題『恋する惑星』)
3 陳美齢(アグネス・チャン)「香港、香港」
4 王菲(フェイ・ウォン)「容易受傷的女人」
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