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私訳『菜根譚』⑬~苦楽も美醜も気持ち次第
世人為榮利纏縛,動曰塵世苦海。
不知雲白山青,川行石立,花迎鳥咲,谷答樵謳。
世亦不塵,海亦不苦,彼自塵苦其心爾。
世人は栄利の為に纏縛せられ、動もすれば塵世苦海と曰う。
知らず、雲白く山青く、川行き石立ち、花迎え鳥咲い、谷答え樵謳うを。
世も亦た塵ならず、海も亦た苦ならず、彼自ら其の心を塵苦にするのみ。
「世の中汚れてる!」
「人生苦労ばかり!」
浮き世で齷齪しながら愚痴を言う。
だけど、
真っ白な雲、青々とした山、
川は流れ、岩はそそり立ち、
花は咲き誇り、鳥はさえずり、
谷には木樵の歌がこだまする。
どこが汚い?
何が苦しい?
こんなに美しく、清々しい世界なのに、
俗人が勝手に醜く、苦しくしてるだけ。
苦楽も、美醜も、要は心の持ち方次第。
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