己を知る、ということ
カミノユウキさんの「内向型人間だからうまくいく」を読みました。
結論から申し上げます。読んで良かった。出会えて本当によかった。
内向型の人間にも、そうでない人にも、読んでほしいです。
内向型の人には、生き方の参考にしてほしい。自分を知ることで、少しでも生きやすくなってほしい。
そうでない人には、こんな人間たちもいるのだということを知ってほしい。そしてできれば、なぜそういう性質なのか、知ってほしい。
ちなみに私は、内向型の中の内向型です。
内向型チェックリストでは30問中29問が当てはまりました。
ですから、自分が生きる上での参考書としてこの本を読み進めました。
この本に書いてあることは、ふたつ。
① 内向的な人間が、なぜ内向的なのか。(科学的根拠)
② 内向的な人間が生きていくうえでの知恵・アドバイス
内向的な人間が、内向的なゆえん。久しぶりに、目から鱗でした。
現時点で実験や研究からわかっていることを、具体例を交えてわかりやすく説明してくれます。
もしあなたが内向的な人間なら、この本は生きていくうえでの貴重な参考書になると思います。
自分の性質について、科学的に構造的に理解ができれば、他人に自分について説明することができます。そうするだけでも、生きやすさが格段に上がることがある。
私は、自分がより生きやすく生きるために、今度はこの本の参考文献にある本を読んでみようと思っています。そのくらい勉強になりました。
自分のことが書いてある。そう思いました。
どうしようもなく嫌いでした。自分の、疑いようがないほど内向的なところ。外向型であることが評価される日本社会。外向的であることに価値がある社会。職場で評価されている自分はすべて努力して作りこんだ「外交的」な外面の自分であること。
この本を読んで、好きになった……とまでは行きません。
でもそれは、私が自分の内向性を嫌う理由が、日本社会が外向性を重視していることだけではないからです。
そして、”日本社会に生きる内向的な自分”については、理解し納得することができました。
内向的な自分を許すことができた。
この本には、自分が既に無意識に実践していることも、数多く書かれていました。理由はわからないけど自分はこうしたほうが早くできるから、と行っていたことの根拠が書いてあったのです。
根拠や理由がわかっただけで、心が晴れやかになることってあると思うんです。まさにそんな感じ。
なぜかわからないけれど遠回りしたほうがいい、よりも、自分は山を登るより平地を走るほうが得意だから遠回りをしても平地を行くほうがいい、のほうが、思い悩む必要がない。そのほうが生きやすいと思うのです。
この本を読みたかったのは、もっと生きやすく生きたかったから。
書評記事をネットで見かけ、書店に買いに行きました。
けれど帯の文章が嫌いで、買って帰った瞬間帯は捨てました。
「成功した人は内向型が多い」
わかるよ。このほうが売れるのはわかる。意識高い人に売れそう(偏見)。
だけど。だけど内向型の人間には、きっともう成功云々なんて言えるような余裕がない。
とりわけ日本に生きている内向型の人間は、もう精神的にも体力的にも参りかけてる人が多いのではないか。日本社会で「普通」に生きていこうとするのなら。私がそうだった。
物心ついたときから、何を求められているかを気にして、皆だったらどうするか考えて、生きてきた。
だってそうしないとわからない。想像しないと辿れない。なぞれない。
なぞらないと行動できない。求められている行動をおこせない。
求められている行動ができないと、「普通」でなくなってしまう。
「普通」の人間として扱ってもらえないと、人間集団に居ることを許してもらえない。
「普通」でなくなったら、置いていかれてしまう。仲間に入れてもらえない。もう二度と「普通」に戻れない。
私を縛っていたのは恐怖でした。
だから努力して、外交的に変わることができないのならせめて”外交的な自分”を作りこんで、生きてきた。それなりに結果を出し職場でも認めてもらった。
認められたすべては、作りこんだ”外交的な自分”。だからもっと認められていくためには、”外交的な自分”の練度を上げるしかない。
そうして私は生来の”内向的な自分”と、必死で作り上げた”外交的な自分”のバランスを保てなくなり、壊れかけました。
内向的な脳が、外交的な外面についていけなくなったのだなと、今ではわかります。
転職をして持ち直し、自律神経失調症も、適応障害も、メニエール病も、一旦治まりました。
でもまた、バランスを崩すといつでも出てくるのでしょう。
それを避けるうえでも、この本はとても力になってくれると感じました。
自分が内向的なことに悩んでいる人。自分は内向的なのかもしれないと考えている人。あの人は内向的なのかもしれないと感じている人。そんな方々が読んでくれたらいいなあと思った本でした。
こんな素敵な出会いは久しぶりです。
ちなみに私は書店が大好きなので、ネットでなく店舗で買いました。
本屋さん、いいですよね。
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