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【 本当に売れるブランディング 】-- VOL4:「時代を越えた売れるブランディング 」

(前回のつづき)

『 私が昇格した年、会社の中の5人に1人ぐらいの人たちが辞表を出して辞めちゃった。5人の中の3人は 昇格なしで現状維持。5人の中の1人が私のように昇格した感じ。』

「 何が起こったんですか?」



『 どこの組織でも同じだろうけど、組織って、仕事してないくせに 威張る管理職って意外といるんだ。そういう管理職がポロポロと辞表を出して辞めちゃった。20人に1人ぐらいは上司の聞き取りが始まった瞬間 辞表を出した。』

「 そっか。色々と苦情を集めているうちに バレちゃっいまいすもんね。」

『 そうなんだと思う。で、直属上司の悪口を言った人は前のまんま。会社に、もうちょっと、ここを こうしてもらえたらもっと働けるのに、みたいなことを言った人たちが昇格しちゃった。』

「なるほどぉ〜。そうなりますよね。」

『 後になって、そういう話を聞いて納得はしたけどね。まぁ、不思議な感覚ではあった。そこから中途採用の人とかが入ってきて辞める人と入れ替わって、翌年は、新卒の子も けっこう入ってきたなぁ。」

「風通しが良くなったんですね。」

『 上手いこと言うなぁ。そういうこと。会社の人の数は 最初は 少し減った感じだったんだけど・・・ 仕事をしていても、まるでストレスがない。色々な仕事がスルスル進みだした。』

「それから、どうなったんですか?」

『 また、全社会議があった。社長と5人のコンサルの人が「今度は、この会社に対する苦情をお客さんから集めてきてください。たくさん集めたらご褒美があります。ねっ?社長・・・」うん。うん。みたいな・・・』

「 それで? 」

『 みんな気合を入れて聞いて回った。だって、会社の苦情を自分が好き放題に言って昇格してボーナス多めにもらったりした人間が実際にウヨウヨいたからね。昇格できなかった人も こりゃぁチャンスだっ!って動いた。』

「 なるほど。それは、そうなりますよね。それで どうなったんですか?」

『 そこから、プロジェクトチームってのができて、そこに私が呼ばれちゃったから さぁたいへん。』

「 なにを やったんですか?」

『 苦情の整理。集まってきた苦情の仕分けみたいな感じ。』

「 十人十色って言葉もあるくらいだし、色々な人から色々な苦情なんて集めたりしたら、苦情の種類が イッパイになって、タイヘンだったでしょう?」

『 それが、そうでもなかった。◯◯が もっと こうなってたら もっと買うのに。みたいなワンパターンの苦情が5つぐらいかなぁ。もう、この5つしかないんじゃない? みたいな感じになった。』

「 へぇ・・・」

『 どこのお客さんも同じことしか言わないなら それを変えなきゃしょうがないじゃないか。それを変えると買ってくれるってわかってんなら変えよう。って取締役会議でドンドン決まっていった。』

「 そうなったんですね。」

『 そう。そうなっちゃった。で、5つの改善ってのが「会社の改革方針」というか「会社のビジョン」みたいなものになった。」

「 そうなりますよね。そこから どうなったんですか? 」

『 プロジェクトチームの会議があったんだ。プロジェクトチームのメンバー15人ぐらいと、コンサルの人が3人。そこに グラフィック・デザイナーの人たちが5人くらい呼ばれてやって来た。』

「 デザイナーさん5人ですか?」

『 そう。5人。で、デザイナーさんが自己紹介をするんだ。食品スーパーで売っている、この商品の箱をデザインした◯◯というデザイナーです。みたいな。それが、みんなが絶対に買ったことがあるような有名な商品のデザインをした人ばっかり。』

「 チョコ?」

『 チョコの人もいた。有名なスナック菓子のデザインをしたデザイナーさんとか、有名な洗濯洗剤のデザインをしたデザイナーさんとか、有名な缶コーヒーのデザインをしたデザイナーさんとか。みんなスゴイ人ばっかり。』

「 それで、どうなったんですか?」

『 コンサルの人が、この前決まった「会社のビジョン」をデザイナーさんたちに説明してください。って話になって・・・ 私が名指しされて説明することになった。』

「 説明したんですか? 」

『 した。した。それで、このビジョンがイメージできるマークのデザインを、デザイナーさん1人につき5案ずつ作ってください。その中で採用された1案に けっこうな額を払います。ボツ案1つにつき この安い金額でお願い。みたいな。』

「 なるほどぉ。そのビジョンがマークになるんだ 」

『 そういう流れになった。だから、結局 25案 作ってもらったんだ。』

「 その中から1案を社長とか取締役会で選んだんですか? 」

『 そうじゃないんだ。ここからが大騒ぎ。ものすごくタイヘンだった。』

「 えっ? 何があったの? 」

『 できた25の案を 常連のお客さんのところに営業マンたちが持っていくんだ。で、お客さんが良いと思うデザインを5つを選んでもらう。さらに、ビジョンとズレていると感じるのを全部教えてくれ。みたいな聞き取り取材をすることになった。』

(つづく)

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