どうやってろう・難聴児とコミュニケーションをするの?
これまで加納研究室では、耳が聞こえる子どもたちを対象にオンライン科学実験ワークショップを実施してきました。今回新たな試みとして、ろう・難聴児を対象にオンライン科学実験ワークショップを開催しました!
→→ワークショップの様子に関する記事はこちらから←←
この記事では、子どもたちとのコミュニケーションを行うために、私たちが工夫したところなど、ワークショップの裏側までたくさんご紹介します!
ぜひ最後までお読みください!
1.説明・手話が1つにまとまる画面構成
私たちのオンラインワークショップはテレビ会議アプリのZoomを使用します。
スピーカービューでZoomに参加したとき、ファシリテーターによる説明、手話による同時通訳、PowerPointでの説明が1つの画面にまとまって見えるように画面構成を工夫しました!
私たちは「1つの画面にまとめる」というところにこだわりました。
子どもたちは画面から目を離してしまうと、こちらからの指示を見逃してしまい、活動についていけないことがあります。そのため、必要な情報が1つの画面で確認できるように工夫しました!
ファシリテーターの後ろにPowerPointや手話通訳さんが映されています。この画面構成のカラクリについては、記事の後半で紹介しています!
2.ピクトグラムを活用したPowerPoint
画面構成の部分でも少しご紹介しましたが、PowerPointでの説明にも工夫したところがあります!
私たちは見て楽しめる、すぐ見て理解できるPowerPointを作成するため、ピクトグラムを活用しました。文章よりも、イラストや写真を多用して、ファシリテーターからの説明をわかりやすく要約することができました。
子どもたちがファシリテーターからの説明を見逃したとしても、PowerPointでの説明を見るだけで今行う活動内容を把握できます!
さらに、青枠のスライド、赤枠のスライドという部分にも工夫が!
実は、色ごとにワークショップ中での大まかな活動内容が分かれているんです!
子どもたちはどのようにして、ワークショップが進んでいくのかがはっきりしていると集中することができます。そのため、今回はワークショップを3つのセクションに分けて、スライドも3色に色分けしました。
3.Zoomの字幕機能
コミュニケーション機能の1つとして、Zoomの字幕機能を活用してワークショップを行いました!
「ライブトランスクリプト」をクリックすると、画面下部に字幕が生成されます!
ろう・難聴児には手話をよく見る子どもだけでなく、文字から情報を取得しやすい子どももいます。それぞれの子どもたちが、自分にあった機能を選択できるように工夫しました!
4.プラカードを使った進行
子どもたちには、実験キットと一緒に「できた」「こまってます」と書かれたプラカードを郵送します。
活動ができたら「できた」の面をカメラに見せます。何かトラブルが起こったら「こまってます」の面をカメラに見せます。
このプラカードを使うことで、子どもたちが全員できているかな?困っている子どもたちはいないかな?ということをすぐに確認して、すぐに対応することができました!
ファシリテーター側は「つぎにすすむよ」「ちょっとまってね」というプラカードを使用しました。
「つぎにすすむよ」のプラカードを見せると、子どもたちは次の活動に向けて再び集中できるようになりました!
「ちょっとまってね」のプラカードを見せると、早くできた子どももじっと待つことができ、みんな揃って次の活動に進むことができました!
5.うちわを使ってコミュニケーション
今回のワークショップではうちわに文字を書いてコミュニケーションを行いました!
子どもたちには白いうちわに名前や、子どもたちが考えたアイデアを書いてもらいます。
そして、みんな一斉にカメラにうちわを見せることで、ファシリテーターが指差しながら子どもたちの意見を紹介することができました。
今後は、子どもたち自身が話すことができるように工夫していきたいなと思います!
6.UDトークでも字幕をさかのぼって確認
子どもたちにはスマートフォンに「UDトーク」という字幕生成アプリをダウンロードしていただき、字幕をスマートフォンでも見れるようにしてもらいました!
もし、子どもたちがZoom に接続できなくなってしまったら、活動から遅れてしまいますよね。また、パソコンから目を離したときに見逃してしまうかもしれませんね。
そんなとき、UDトークを見ると、どのようなことが話されていたかをさかのぼって確認することができます!
7.ワークショップの裏側を大公開!
ここからはワークショップの舞台となった研究室の様子を大公開します!
緑の布や他にも色々な機械がありますね。それぞれをどのように使うかご紹介します!
緑の布はファシリテーター、PowerPoint、手話通訳さんを1つの画面に映すときに使用します!
緑の布の前にファシリテーターが立ち、ワークショップを行います。ATEMという機械にPowerPointが映っているパソコンや、ファシリテーターを映すカメラを接続することで、ファシリテーターの映像に手話やPowerPointが合成されるようになっています!
また、ファシリテーターはカメラに映っていないところに置かれた2つのモニターを見て、合成された画面の様子や、子どもたちの様子を確認していました!
ワークショップをうまく行うために、カメラに映っていないところでもサポートをしています!
モニターの横に座って、ワークショップ内で行う投票の表示や何かトラブルが起こったときに対応します!
ファシリテーターとアイコンタクトを取りながらワークショップを進めています!
また、UDトークに表示される誤字を修正するスタッフやワークショップ中の子どもたちの様子を見守るスタッフなどがいます!
8.まとめ
今回は、ワークショップでろう・難聴児とコミュニケーションをするために工夫したところやワークショップの裏側について書きました!
ろう・難聴児とのコミュニケーションのために工夫したことが、結果として全てのワークショップでのコミュニケーションに活用できるなと気づき、私たちにとって大きな学びにつながりました!
今後もよりよいコミュニケーション方法を開発していきます!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
さて、ここまで読んでいただいたあなただからこそ、こう感じているのではないでしょうか?
「どうやって参加すればいいの?」
「どこから参加できるの?」
今後開催するオンライン科学実験ワークショップについては、研究室公式SNS で情報を発信していく予定なので、ぜひフォローよろしくお願いします!!
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他にも、本記事に書ききれなかったことで気になることやオンライン科学実験についての疑問などもあると思います。質問や要望などコメントに書いていただけると嬉しいです!
今後とも、加納研究室の活動をよろしくお願いいたします!
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