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看護師を転職したら、人生の転機になった話 vol.2

ハッと気がついたら広島で、慌てて新幹線を降りた。
迎えにきてくれていたのは、いとこのてっちゃんだった。
てっちゃんは20個くらい上の兄貴みたいないとこで、小さい頃本当によく可愛がってくれた。
だけどここ数年音信不通になって、どこで何してるのかも分からなかった。
だから、久しぶりに会ったときは、本当にびっくりして、嬉しかった。

亡くなったのは、てっちゃんの実の父親で、私の母の兄。私にとってはおじさん。
葬儀場に向かっているのにも関わらず、てっちゃんと私は久しぶりの再会を心から喜び大笑いした。

そんな車内でてっちゃんは父親の亡くなった時の様子を話してくれた。
おじさんは、30年以上前にてっちゃんの母親と離婚し、他の女性(仮名称:あつこさん)と再婚した。
あつこさんも再婚で、前夫との間に6人の子供がいた。再婚後、おじさんは6人の子供を、自分の子供のように可愛がり、子供たちも本当の父親のように慕っていた。私は全く知らなかったが、てっちゃんもその子供たちとよく遊んでいたそうだ。

おじさんが亡くなる間際、子供たちは意識の無いおじさんのもとに寄り添っていた。
6人兄弟の一番下の子がおじさんの手を握り、
「お父さん。ねぇ、お父さん。私のお父さんになってくれて、ありがとう。」
と言ったそうだ。てっちゃんはその一言に涙が溢れ、その場にいたみんなが
「ありがとう。」と涙まみれで口にする中、おじさんは眠るように息を引き取った、と。

てっちゃんは運転しながら、
「父親が死んで、まさか感動すると思わなかった。」とポツリと言った。

会場に着くと、6人の子供のそれぞれの子供達も合わせて15人以上の大家族が迎えてくれた。私は初対面だったが、みんなとても優しく話しかけてくださり、
てっちゃんのおかげもあって、すぐに打ち解けることができた。
今まで、ろくな親戚付き合いもなく一人っ子だった私は、
「両親が亡くなったら一人で生きていかなければならない。」と育てられた。
そのため、自分は独りだといつしか思うようになっていたが、血こそ繋がっていないものの、予期しない親戚の登場に
「私は独りなんかじゃないんだ。」と心があたたまってっていくのを感じた。

自分の病気、休職。数少ない親戚の死をきっかけに帰省。
このタイミングの重なりように、必然のような偶然を感じている自分がいた。

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