かつては夢を抱いていたではないか。
自分の生き方を見定めよ。
いつまで根無し草の如く、ふらふら、なあなあ、テキトーに生きているのだ?
やりたいことがあるのだろう。
かつては夢を抱いていたではないか。
志を持っていたではないか。
なのにどうした?
今の己の姿を視てみよ。
甘さに負け、欲に塗れ、ボーっとして生きているのか死んでいるのか分からない、そんなことでは世が浮かばれぬ。
己が手に持つものの中に本当のことは書いてあるのか?
小さな部屋に閉じこもり、そこで何をしているのか?
もう、今世の中で与えられている余暇のお時間はもはや無し。
己、荒野の中で独り生きてみよ。
1時間と持たぬ。
人間よ、そんなことでどうする?
そのような不甲斐なき姿になるためにこの世に生まれてきたのか?
「ええ?いきなりそんなこと言われましても、ねえ。何を熱くなっているんですか?私は私なりに、やることやっていますし、これでも真面目に生きているんですよ。そりゃ、以前はやりたいこともありましたけど、諦めました。どうせ、自分みたいな人間には冷たい世の中だっていうことが分ったんで。それよりもネットでゲームやったりバーチャル空間で遊んだり、まんが読んだりしている方が、気がまぎれていいっす。っていうか、めっちゃ楽しいし、あっという間に朝まで集中できるんですよ。これって凄くないですか?この状態が永遠に続けられたらなあって本気で思います。ダメですか?」
「まだ自分の生き方なんて決められないよ。だって、まだ何一つ経験していないし。今はいい大学に入るために、毎日学校行って、塾行って、自分の部屋で勉強するだけ。たまに隠れて動画サイトみたりしてますけど、親にはナイショです。たまには息抜きしないと。こんな状態じゃ、自分のことすら何も分かっていないし、世間で何が起きているとか、人生とか、そういうのに時間を割く暇がないんです。ごめんなさい。」
「私は、これまで自分の人生について、いろいろと考えてきました。人が経験しないような事態に遭遇し、自分を見失い、宗教に縋りました。それでもダメで、結局、心の病になり、今は仕事にも就けず、家に籠っています。薬の所為で、何もやる気が起きません。時々、死にたくなります。そんな自分が生き方を定めろって言われてもムリです。」
「私は決めてます!地球が壊れかけているので、何とかしたいと、環境活動の世界に飛び込みました。毎日、大変ですが、充実しています。ただ、時々虚しくなります。本当にこのことが自分にとって正しい生き方なのかと…。やってもやっても何も変わらないどころか、益々悪くなっていくし、今では、馬鹿にされることだってある。同僚は、みんな投資とかで儲けて、海外移住とかしているし、仕事でも昇進して、大きな仕事を任されているって聞くし、自分はまだ何一つ成し遂げられたことがないんです。今、正直悩んでいます。」…。
悩み多き人間よ。未熟なのだから仕方のないことか。
そうではない。
お主たちは、ただ道が見つけられていないから、進めないだけ。
自分の生き方とは、即ち、己の道を見定め進み切ること。
「まあ、そのうち見つかるでしょ?その道というやつ。だから全然焦ってないよ。今、ゲームで対戦中なんで、邪魔しないでよ!」
「分かりました。一旦、受験戦争に勝ってから考えます。だからそっとしておいて下さい。」
「ああ、たまに、自己啓発本とか読んでみたりしていますけど、それも薬の所為か眠くなって、続かないんです。病気が良くなるまで時間が掛かると思います。」
「自分の道ですか。そうですね。環境活動がその道だと思っていたのですが、本当は違うのかもしれません。もう一度、一から考えて直してみます。有難う御座います。」…。
お主ら、もう一度言う。
自分の生き方を見定めよ。
そのために、生と死を、真剣に見詰めるのだ。
そこに真理が在る。
人間にとって最も大切な生と死の真理を知らずして、他に何を知るというのか。
そのことを肝に銘じ、自身の生き様を再確認し、自分の道を只管に進みます。
有難う御座います。