HSPの診断テストは偽物だらけ!本物はどれ?
インターネットで「HSP診断テスト」と検索すると様々なものが出てきます。
しかしそれらの9割以上は偽物です。専門家でないブロガーや自称HSP専門カウンセラーが自分の感覚で適当につくったものです。
検索したとき最初のほうに出てくるものだから正しいものと勘違いしている人もいますが、検索順位は内容の正しさで決まるものではありません。
上位に表示させるためのSEO(検索エンジン最適化)という施策がありそれを効果的に適用できている順番で決まります。
なので大学の心理学の研究者よりもネットに詳しい人間がつくったサイトのほうが上位にくることが多いのです。
HSPの研究で使われる本物の尺度とは?
HSPの特性を調べるために使われる本物の尺度はどれでしょうか?
成人の場合は「Highly Sensitive Person Scale」もしくはその簡易版です。
子供(8歳から18歳)の場合は「Highly Sensitive Child Scale」もしくはその拡張版です。
(※他に親や教師などの観察者が回答するものもあります)
HSPの尺度といったら通常はこれらを指しますし、研究においてもこれらが用いられます。
また最近の研究では「Highly Sensitive Person Scale」を複数の因子構造として捉える方法も採用されています。
たとえば以下の3因子で捉える方法などがあります。
・興奮しやすさ(EOE:Ease of Excitation)
・美的な感受性(AES:Aesthetic Sensitivity)
・感覚応答の閾値の低さ(LST:Low Sensory Threshold)
ここで説明した以外のものでHSPの特性としての感受性を測定する際に使用できる有効な尺度は存在しないのではと思います。
※HSPをもう少し広い枠組で考える場合にはその他の尺度を使うこともありますが、説明が長くなってしまうのでそれらについてはまた別の機会にします。
HSPは「診断」するものではない
そもそもHSPは障害ではなく特性なので診断するものではありません。
そのため「診断テスト」というものは存在しないのです。
さきほど説明したものも診断テストではなく尺度(スケール)なのです。
「HSPの診断」という言葉を使っているカウンセラーには気をつけてください。
そもそもHSPに限らず、どんな病気や心の不調でも医師以外が「診断」をすることはできないのです。医師法違反になります。そもそも医学部を出て医師としての研修と実務をしていない人間で診断できるだけの知識がある人もいません。
※「診断」と同様に「治療」も医師以外が行うことはできませんので、「HSPを治療する」とか「HSPを治す」という言葉を使っているカウンセラーがいたら気をつけましょう。
手に入れやすいHSPのチェックリスト
では自分のHSPの特性を知るにはどうすれば良いでしょうか?
簡単に手に入れられるものとしてはHSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』という本があります。
この本の中に「Highly Sensitive Person Scale」とほぼ同じ内容のチェックリストが載っていますからそれを使用すると良いのではないでしょうか。
とはいえHSPは低感度から高感度までのスペクトラム(連続体)です。なのでHSPかそうでないかを明確にする基準はありません。
アーロン博士の本でも23個の質問の中で12個以上が該当すればおそらくHSPだろうと書かれていますが、それ未満でもその度合いが極端に強ければHSPかもしれないとも書かれています。
HSPかどうかということにこだわるのではなく、自分がどんな刺激に反応しやすいのかを知り、生活の質を上げるヒントにすることが大切です。